認知症カフェとは、認知症のご本人とご家族が、地域住民の方や、介護・福祉・医療の専門家と身近な場所で集い、交流できる場のことです。ケアラーズカフェ、オレンジカフェとも呼ばれています。

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  • 認知症カフェの概要

認知症カフェは、厚生労働省が平成27(2015)年に発表した「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」の一環です。

新オレンジプランの目的は、認知症の方が住み慣れた場所で、自分らしく暮らしていくことです。そのなかで認知症カフェは、介護者を支援するという観点から成り立っています。それが、認知症の方ご本人の、生活の質を向上させることにもつながるからです。

カフェという名がついていますが、イベントとして月数回、定期的に開催されるケースが多いので、事前予約が必要な場合があります。運営は、NPO法人・社会福祉法人・医療機関・市町村・家族会・個人など。開催場所は、介護サービス施設・医療施設・公民館・個人宅・カフェ・レストランなど、さまざまです。参加費はそれぞれ異なりますが、無料もしくは数百円程度です。

厚生労働省によると平成26年度の実績調査では、41都道府県280市町村にて、655カフェが運営されています。

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  • 認知症カフェで行われること

認知症カフェに定義はないので、さまざまなことが行われています。多くは、お茶やお菓子、食事などを楽しみながら、認知症の方とご家族同士や、地域住民の方が交流し、情報交換を行います。そのなかで、介護・福祉・医療の専門家に相談する機会があるほか、専門家による勉強会が催されたり、健康チェックや医師の診察が行われることもあります。

また、お料理や編み物、散歩に園芸、囲碁に将棋、ゲームやカラオケに、パソコン教室まで行われる場合もあります。なお、認知症カフェでは、認知症の方も一緒にお料理を運んだり、片づけをすることも少なくありません。

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  • 認知症カフェの効果

認知症カフェではお茶や食事など『おいしさ』を介して交流することが、元気を養う効果を発揮しています。また、認知症の方と、そのご家族同士が共感し合い、励まし合う仲間として、家族ぐるみのお付き合いに発展することもあります。そして、誰もが集える認知症カフェは、それぞれの立場において、以下のような効果(※1)ももたらしています。

【認知症の方】
・居場所ができた
・役割がありうれしくなった
・楽しくて笑えた
・おいしくてリラックスできた

【ご家族の方】
・息抜きになり、優しい気持ちになれた
・専門職の方が身近に感じられた
・悩みを吐き出せて楽になった
・参考になる話があった

【専門職の方】
・認知症の方とご家族を支える焦点が絞りこめた

【地域住民の方】
・認知症への理解を深めた

(※1)「『認知症カフェの現状とこれからの役割』2015年4月12日(日)
第1回 47都道府県委員会 in 田町/認知症の人の生活支援推進委員会」参加者の声より

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  • さまざまな認知症カフェ

明確に区別するのは難しいですが、認知症カフェには以下のようなタイプが存在します。(※2)

【認知症の方と家族が集う場】
家族会による運営です。昼食、飲みものがついて500円程度の参加費。集まるのは20人ぐらいで、月1回ほど個人の家で開催されます。認知症の方の社会参加や、ご本人や家族への心理的支援が目的です。家族の会メンバー、市民ボランティア、認知症サポーター、専門職の方がスタッフとして参加します。

【認知症または高齢者の専門施設型】
社会福祉法人による運営で、参加費は100円程度です。週に1回ほど施設の一室に10~20人ほど集まり開催されます。ご本人やご家族への心理的支援に加え、ピアカウンセリング(障害のある方同士が共感し支え合う)や、ボランティアの育成にも役立てられています。専門職の方への相談や勉強会などがあり、ゲームをしたり、お料理したり、お茶を飲みながら会話を楽しみます。認知症初期の方の参加が多く、スタッフは施設職員などです。

【自治体のモデル事業型】
市町村による運営です。軽度認知症の方への支援や、制度に関する情報提供を目的としており、施設の一室で週1回ほど開催されます。参加費は無料で、10~20人ぐらい集まり、お茶を飲みながら会話を楽しんだり、クラフトワークや体操などをします。スタッフは医療関係者や介護の専門職の方です。

【地域住民が集う場】
NPO法人の運営です。地域住民のつどいの場であり、地域高齢者の見守りが目的なので、民家や空き店舗を活用し、毎日開催されています。参加費は食事をする場合は500円、飲み物だけなら100円といったかたちです。NPO法人スタッフや、市民ボランティアがスタッフとして参加しており、会話を楽しんだり、希望があれば手芸なども行います。10~20人程度参加しますが、多いのはひとり暮らしの高齢者です。

【既存形態にとらわれない個人発展型】
個人資金を含むNPO法人による運営です。開催場所はNPO法人代表の自宅など。行政の制度ではフォローしきれない方の支援を行うことが、目的のひとつです。ほぼ毎日、500円程度の参加費でお茶を飲んだり、食事をしながら会話を楽しみます。宿泊の場合もあります。参加者数は年間のべ2000 人ほど。市民ボランティアがスタッフとして参加します。

(※2)公益社団法人認知症の人と家族の会「認知症カフェのあり方と運営に関する調査研究事業 報告書」参考

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  • おしまいに

認知症の方とそのご家族は、長いあいだ社会的支援もなく、偏見のなかで孤立無援でした。しかし、昭和55(1980)年に「公益社団法人認知症の人と家族の会」の前身が誕生し、同じような立場の方々が多く存在することをお互いに知り、大変勇気づけられたといいます。また、認知症カフェの前身となるコミュニティカフェが姿を現わしたのは、オレンジプランが策定される以前の2000年からです。

このように、高齢化社会において最も大切な横のつながりは、市民の手によってつくりだされてきました。そして、深刻な高齢化社会に直面し、ようやくその役割が重要視されはじめたのです。しかし、実のところ、認知症カフェのほとんどが、資金確保に苦労しているという現実があります。

認知症カフェは地域住民にとって、自分が認知症になったときに利用できる場があるという、安心を与えてくれるものでもあります。認知症カフェの支援スタッフは、市民ボランティアが最も多いという注目すべきデータ(※2)があります。しかし、まだまだ国民全体の関心が十分であるとはいえません。高齢化社会において横のつながりをつくるハブ地点「認知症カフェ」に、より多くの関心が集り、本格的な制度として位置づけられることが期待されています。

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  • おさらい

認知症カフェとは、認知症のご本人とご家族が、地域住民の方や、介護・福祉・医療の専門家と身近な場所で集い、交流できる場のことです。ケアラーズカフェ、オレンジカフェとも呼ばれています。政府が打ち出している、「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」の政策のひとつでもあります。

参加者は、お茶を飲んでお菓子を食べたり、食事をともにして会話を楽しみます。その際に、認知症の方やご家族同士が交流したり、専門家に相談することができます。

さまざまなタイプの認知症カフェがありますが、散歩やカラオケ、クラフトワークやお料理教室を楽しんだり、専門家による勉強会が行われたりします。

■問い合わせ窓口:地域包括支援センター、市町村、公益社団法人認知症の人と家族の会