高齢者は、食が細くなるとともに食べる力が衰えて、誤えんによる肺炎で最悪は死亡に至るおそれがあり注意が必要です。しかし、一方でただ単に食べやすくするだけでは、食事の見た目が悪くなって食欲をそそりません。高齢になってもおいしい食事を楽しみたという欲求は変わりません。そこで、高齢者施設では入居者の食事を摂る力にあわせてさまざまな種類の介護食を用意しています。どのような種類の介護食があり、それぞれどのような特徴を持っているかについて紹介します。

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  • 食事を摂る力が衰える高齢者とそのときに起こる問題点

高齢になるに従って食事を摂る能力が衰えます。具体的には、「味覚の鈍化」、「かむ力・飲み込む力の減退」、「喉の渇きの感じ方の鈍化」、および「唾液の分泌量の減少」と4つ能力が衰えます。この4つの力が衰えると高齢者には大きな問題が生じます。

まず、食事を摂るという大きな楽しみが小さくなります。しかし、問題はそれだけでなく健康状態を悪化させるリスクや命にかかわる危険性が高まります。味覚が鈍くなるとさまざまな食材の味があいまいになって違いが分かりにくくなり、またおいしい料理の香りに気づきにくくなって食欲減退につながっていきます。かむ力は、歯が失われることで若いときの数分の1程度まで弱くなります。そのため、柔らかいものばかり好んで食べるようになり栄養バランスが悪化します。また、食物繊維が多い食材が食べにくいので避けるため、食物繊維が不足して便秘になりやすくなり食欲が衰えていきます。飲み込む力が弱くなると、むせて苦しさをたびたび味わうようになり、やはり食欲が衰えます。喉の渇きを感じにくくなると体が脱水症状を起こしていても感じず熱中症になりやすくなります。唾液の分泌量が減少すると、消化力が弱まって食欲も弱まります。そのため、高齢者とって食事をいかにおいしく食べやすくするかは重要な問題です。

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  • 介護食の重要性

介護食というと、ひと昔前はすりつぶしたり細かくきざんたりすることが主に行われ、材料の持つ素材感、季節感、色の鮮やかさ、新鮮さなどが失われ、ただ栄養を補給するだけで食事する楽しみのない食事になっていました。しかし、行動範囲が狭まり外部との接触が少なくなった高齢者にとって食事は、大きな楽しみの一つであり生きる意欲を高めて若々しい生活をもたらしてくれる大切なものです。また、精神面だけでなく、食事を楽しくできると消化吸収が良くなることが医学的にも証明されており食事を楽しく摂ることは高齢者にとって栄養面でも大切なことです。さらに、重要なことは、かむ力が衰えると飲みこむときにむせたりして、本来食道を通って胃に行くべき食べ物が、気管から肺に誤って流れこむ「誤えん」を引き起こして肺炎を発症して死亡する危険性があります。そのため高齢者施設では、入居者の健康状態やえん下機能などの一人ひとりの食べる力に合わせてそれぞれに適切な各種介護食を用意しています。

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  • 高齢者にとって食べにくい食事・食材とその解消方法

高齢者にとって食べにくいとされる「硬くてかめない」、「ぱさぱさして食べにくい」、「酸味などが強くてむせやすい」、「歯でかみ切りにくい」、「口の中に貼りつきやすい」、および「液体と固体が混ざって気管支に流れ込みやすい」などの食べ物や食事です。これを改善するには、以下のような調理方法を行うことで解消できます。

  • ・硬い食材は、すりおろしたり、きざんだりして食べやすく調理します。
  • ・繊維が多い食材は繊維を切る、たたくなどして、また柔らかくなるまで火を通して調理する、あるいはすり身にして調理します。
  • ・食材を一度、ゆでたり、焼いたりしてから炒めたり、煮込んだりと二度手間をかけて調理します。
  • ・圧力鍋を使って素材を柔らかくする調理をします。
  • ・パサパサした食材や液体はトロミをつけられる食材を使って食べやすく調理します。
  • ・むせやすい食材は量を控えたり、むせやすさを抑えたりする調理をします。
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  • 介護食の種類と特徴

介護食は、高齢者が食事・食材の食べにくい部分を改善して食べやすくした食事です。介護食のなかには、さらに進化させて見た目にも食欲をそそる食事にした食事もあります。

介護食を種類別に分けると「きざみ食」、「ミキサー食」、「とろみ食・ゼリー食」、「ソフト食」、および「水分補給食」に分けられます。それぞれの介護食の特徴は以下の通りです。

・きざみ食:食事・食材を細かくきざんでかむ力が弱くても食べやすくした食事です。しかし、きざんだだけだと高齢者によっては、きざんだ食材が細かく口全体に広がって飲み込むときにまとまりにくくむせやすくなります。その場合は、さらに細かくして液体状やペースト状にする必要があります。

・ミキサー食:食事・食材をミキサーにかけて液状に近い状態にして、かまなくても食べられるようにした食事です。液状になるため見た目がみんな同じようになって食欲がわきにくくなる欠点があります。

・とろみ食・ゼリー食:かたくり粉やとろみ剤でとろみをつけるのがとろみ食です。ゼラチンなど液状の食材をゼリー状に固めたのかゼリー食です。飲み込む力が弱く、えん下障害がある人に適しています。液体をゼリー状にして飲みやすくしたのは水分補給食とも呼ばれます。

・ソフト食:食事・食材をペースト状にして、その後で元の食事・食材に近い状態に形成し直しをして作られた食事です。従来の介護食は、できあがった食事や食材の見た目を無視してすべてをペースト状にしていましたが、ソフト食では食材ごとに元に戻して見た目を普通にして舌で簡単につぶせて食べられるように柔らかく作られています。

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  • まとめ

高齢者にとって食事が食べやすいことの重要性と、高齢者施設で高齢者に提供されている介護食の種類とその特徴について紹介しました。高齢者にとって大きな楽しみである食事だけに高齢者施設を選ぶときのポイントのひとつとして、どのような介護食を提供しているかをチェックするようにしましょう。