認知症の早期発見に効果的な認知症スケール長谷川式

認知症は認知機能の障害が起きている病気の総称で、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などが含まれます。この認知症は一部の病気を除き現代医学でも完全には完治させられない病気です。しかし、完治させられない認知症でも、認知機能が低下していることを早期に発見し早期に治療を開始すると、症状の進行を遅らせ、また症状を軽減させられます。

多くの場合認知症の進行は遅く、また初期には加齢による物忘れなどと区別がつきにくく認知症の初期段階では、症状のサインを見落すという問題があります。そこで、簡単に認知症を発症する可能性が高い認知機能の低下が表れているか、あるいは単なる老化現象なのかを判定できる「認知症スケール長谷川式」について解説します。

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  • 「認知症スケール長谷川式」による判定が必要な理由

認知症を発症する前や認知症の初期段階では、認知機能が低下がみられますが、特に大きな支障もなく日常生活を送れるため、主観的におかしいと感じても客観的に判断できずに多くの場合そのまま放置されます。

その結果、深刻な状態と気が付いたときは、完全に認知症になって家族の支援がなければ生活が困難な状態に進行します。認知症になる前の段階として多くの場合、軽度認知障害と呼ばれる認知機能が老化とは別の原因によって低下している状態になります。この状態では特に大きな支障もなく日常生活を送れますが、5年間放置すると約2分の1という高い確率で認知症を発症すると考えられています。

しかし、この段階で治療を行うと認知症を発症するまでの期間を遅らせることが可能です。そのため、早い段階で発見して症状の進行を抑えることが必要です。

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  • 「認知症スケール長谷川式」とは:

「認知症スケール長谷川式」とは、聖マリアンナ医科大の長谷川和夫名誉教授が1974年に考案した約10分から15分で終了する知能検査テストです。

このテストで軽度の認知障害があるか、あるいは認知症かを簡単に診断できます。その特徴は、医療機関でも利用されている信頼性の高さと、医師だけでなく誰でも簡単に行えるテストという点です。

満点は30点で得点が20点以上の場合は認知症の可能性が低く、16~19点場合は軽度の認知障害の疑いがあると判断されます。15点以下の場合は認知症の可能性が高くなります。なお、簡易なテスト方法なので点数が悪かったからといって無条件に認知症とは判断されませんが、19点以下の場合は病院でより精度の高い検査を受けることをおすすめします。

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  • 「認知症スケール長谷川式」の具体的なテスト内容

「認知症スケール長谷川式」は全部9つの質問に口頭で回答する方法で行われます。9つの質問内容は以下の通りです。

質問1:

あなたのお歳はいくつですか?

採点:

2年までの誤差は正解。正解1点。不正解0点。

質問2:

今日は何年何月何日何曜日ですか?

採点:

それぞれ正解で各1点。満点4点。すべて不正解0点。

質問3:

私たちが今いる所はどこですか。

採点:

ヒントなしで自発的に答えられたら2点。5秒間正解が出なかった場合、「家ですか?病院ですか?施設ですか?」とヒントを与え、正解が選択できれば1点。不正解0点。

質問4:

これから言う3つの言葉を言ってみてください。後でまた聞きますので、よく覚えておいてください。言葉は以下のどちらかを選択します。
1 桜、猫、電車
2 梅、犬、自転車

採点:

各1点。合計3点。

質問5:

「100-7」はいくつですか。そこから7を引くといくつですか。

採点:

正解で各1点。合計2点(最初の答えが不正解の場合は、次の引き算はしない)。

質問6:

これから言う数字を逆から言ってください。「6-8-2」と「3-5-2-9」。

採点:

正解で各1点。合計2点(最初の答えが不正解の場合は、次の回答はさせない)。

質問7:

先ほど覚えてもらいました3つの言葉を言ってください。

採点:

自発的に答えられた場合、各2点。答えられなかった場合、ヒントを「植物、動物、乗り物」と与えます。ヒントを聞いて正解できた場合、各1点。不正解0点。満点は6点。

質問8:

5つの品物を覚えてくださいと言い、1つずつ名前を言いながら並べ、覚えてもらいます。5つの名前を言って並べ終えたらその後、品物を隠し、何があったか名前を答えてもらいます。品物は、「キー、時計、ペン、硬貨、タバコ」など相互に関連性のない品物5点を用意します。

採点:

各1点。満点5点。不正解0点。

質問9:

野菜の名前を10個答えてください。

採点:

5個以下は0点。6個目以降回答できたら数に対して各1点付与。満点5点。

なお、「認知症スケール長谷川式」を受けた人の認知レベル別の平均点は以下の通りです。
・認知症でない人:24.3点。
・軽度認知症の人:19.1点。
・中等度認知症の人:15.4点。
・やや高度の認知症の人:10.7点。
・高度の認知症の人:4.0点

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  • 「認知症スケール長谷川式」を行う上での注意点

「認知症スケール長谷川式」のようなテストは、前述したような簡単なテストであることから、受ける人がきちんと自分の能力を十分に発揮しないと正確な判断ができません。また、認知症の診断のためのテストという場合、受ける人に気持ちを傷つける可能性があり、その点に注意して行う必要があります。

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  • まとめ

認知症かどうかを客観的に判断できる「認知症スケール長谷川式」のテストが必要な理由、「認知症スケール長谷川式」の概要、およびテスト実施上の注意点について紹介しました。認知症は進行すると家族など周囲に大きな負担をかけてしまう病気ですが、早期発見による早期治療で病気の発症や進行、症状の軽減がある程度可能な病気でもあります。認知症が懸念される場合、判断が難しい初期の段階でも簡単に、効果的に、客観的に認知症がどうかを判断できる「認知症スケール長谷川式」を活用