介護予防イラスト
2017年7月に発表された2016年度の平均寿命は男女とも過去最高を更新し、女性は87.14歳、男性は80.98歳です。しかし、平均寿命が延びて長生きできても元気で動き回れて、好きなことができなければ長生きできたかいがありません。そのため多くの人は介護されることなく自立した生活ができることを望んでいます。では、要介護状態にならずに自立した生活を送るにはどうすればよいのでしょうか。要介護状態にならずに元気で自分らしくいきいきとした暮らしをするには、日々の生活で誰にでもできる少しの努力で可能です。具体的な介護予防の方法について解説します。
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  • 介護予防とは

介護予防とは、「要介護状態になるのを未然に防ぎ、できるだけ要介護状態になることを遅らせること」、および「すでに要介護が必要であったとしても、その状態がさらに悪化しないようにして、要介護状態の改善を図ること」です。具体的には、体操やレクリエーション、リハビリテーションなどを通じて運動能力の低下を防止します。また、食生活を見直して、栄養面の改善を図るとともに、物を食べるときしっかりかみ、十分な量の唾液の分泌を促します。さらに、家族や家族以外の人とも会話をたくさんして、豊かな表情をつくることなどで口腔機能の向上を図ることも大切です。

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  • 介護が必要になる主な原因

高齢者の死因で多いのは、内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によると「悪性新生物(がん)」がトップで、以下「心疾患」「肺炎」と続きます。これら3つによって高齢者の死因の半分を占めています。しかし、要介護状態になる原因は、これらの重篤な疾病ではなく、加齢による衰弱や運動能力低下による骨折・転倒など身体機能・生活機能の低下と、高齢による「認知症」の発症などです。いずれも日々の生活を少し変えるだけで、これらの原因によって要介護になる予防や悪化を防止できます。

最も悪い生活パターンは、例えば「食事のときにかみにくくなった」「体を動かすと疲れる」などを年齢のせいでやむを得ないとして、そのまま放置することです。放置することで、「食事の量の減少」や「体力が低下し活動量の減少」などが生じます。そして、「食欲が低下し食事量が減少」し「運動機能・生活意欲が低下」するという悪循環に陥ります。運動や食事量の低下は、筋肉や骨を弱らせて転倒・骨折をしやすくなります。その結果「要介護状態」になる可能性が増加します。

要介護状態になる原因には、身体的な機能低下のほかに生活意欲の低下もあります。例えば、定年退職して社会との関わり合いが急激に減少すると、生きがいを失って家に閉じこもることが多くなると身体的な活動量の減少や、緊張感が失われることで認知症にもなりやすくなります。生きがいを持って社会と積極的な関わり合いを持つことが認知症予防には重要です。

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  • 要介護状態にならないためには

人間の骨や筋肉の量と質は加齢によって徐々に低下していきます。そこに運動不足や栄養不足が加わると、よりその低下速度や骨量、筋肉量の減少が加速していきます。運動不足で肥満になると関節にかかる負担が増大ます。また、反対に食事の量が減って痩せすぎても骨がもろくなったり、筋肉が弱くなったりするために、転倒し骨折しやすくなり、その結果寝たきりの要介護状態になる可能性が高まります。

運動というと運動が苦手な人は負担に感じるかもしれません。また、筋肉をつけるにはきつい筋トレが必要かと思われるかもしれませんが、要介護状態にならないために必要な運動は、ハードなスポーツをすること、きつい筋トレを頑張る必要はありません。できない場合は、以下のようなことをするだけでも十分です。

・散歩をする
・車ではなく徒歩で近くのスーパーへ買い物に行く
・旅行では歩いて美しい景色を見る
・最寄りのバス停ではなく1つの先のバス停から乗車する
・ストレッチ、ヨガ、フラダンスなど好きなことをする
・ゴルフ、水泳など自分のペースでしやすいスポーツをする
・筋トレが無理なら、椅子に座って足の指を狭めたり、広めたりする。あるいは、足を軽く開いて立ち、つま先の上げ下ろしをするなど体をとにかく動かすことです。

運動は、筋肉を増やし、骨を強くしますが運動以外に食事にも気を使いましょう。筋肉を増やすには良質なタンパク質をとることが必要です。骨にはカルシウムと、カルシウムを体内に吸収されやすくする働きのあるビタミンDや、骨の形成を促す働きのあるビタミンKをとると効果的です。また、骨の形成には日光にあたることも必要です。

認知症の予防には、バランスの良い食事し、適度な運動と睡眠など規則的な生活を送ること。および人との付き合い増やすことや読書や日記を書き、博物館や美術館、映画に行くなど知的好奇心を高めることが効果的です。

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  • 要介護状態になってそこから抜け出すために必要なこと

もし、要介護状態になったら、あるいは現在要介護状態にある人は、要介護状態から抜け出せないのでしょうか? 決してそのようなことはありません。要介護状態であっても、そこから抜け出して自立した生活ができるようになる可能性があります。そのときに重要になるキーワードがCADL(文化的日常生活動作)です。CADLとは、好きな映画、音楽、絵画などを見たり聴いたりするなどの文化的な生活動作のことです。CADLは、「Culture Activity of Daily Living」の略語でケアタウン総合研究所所長の高室成幸氏が提唱した概念です。

なぜ、このCADLが重要かというと一般的に要介護状態になった人は、いきなり要介護状態になるわけではないので、自分は介護されないと何もできないという後ろ向きの自己否認の精神状態になっているからです。後ろ向きの精神状態だと本人に要介護状態を抜け出そうという意欲がないので抜け出すことが困難です。しかし、例えば、ケガのリハビリで、元の体に戻って自分のしたいことを、またしたいという強い意欲があるとリハビリに耐えられて自分のしたいことができるようになります。これと同じで、自分のしたいことをできるようになることを、家族が支援すると、そうなるように努力するので要介護状態から抜け出せる可能性があります。そのためには、家族は要介護者に希望や夢を持たせるようにして、その実現を支援することが重要です。

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  • まとめ

要介護状態になることは誰も望みませんが、高齢になる体力や意欲が低下してきてその状態を長く続けると筋肉、骨が弱まります。その結果、ちょっとした段差で転んで骨折し、寝たきり状態になる可能性が高まります。要介護状態は、簡単な介護予防方法を実践することで、時期を遅らせ、また介護の程度を軽くできます。介護予防の方法、および要介護状態になっても、そこから抜け出すために大切なCADL(文化的日常生活動作)の考え方について解説しました。要介護状態は本人だけでなく家族全体の大きな問題です。介護予防をしっかりすることで要介護状態の期間を短く、また軽い状態にできます。本記事を参考に介護予防を実践してください。