少子化、核家族化、高齢化の進展に加えて近年の未婚率や熟年の離婚率の増加などで1人暮らしの高齢者が増加しています。健康で元気なうちはひとり暮らしでも問題なくても、日常生活に支障がでるようになると老人ホームに入所を検討しなければならなくなります。

このとき、身元保証をしてくれる家族がいないと入所が困難なことをご存じでしょうか。公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートの調査結果を国道交通省の小委委員が作成し、2017年1月に発表したデータによると、入所・入院するときに身元保証を求める割合は、施設で91.3%、病院は95.9%です。1人生活ができなくなるときに備えて「身元保証とは何か、なぜ必要なのか、および身元保証をしてくれる人がいないときの対処法」などについて解説します。

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  • 施設が身元保証を必要とする理由

9割以上の高齢者施設や医療施設が身元保証を必要とするのは以下の理由によります。

1.費用の支払い保証
高齢者施設・医療施設で発生する費用の支払いを入所者・入院患者本人が支払えないときのためです。身元保証に加えて身元保証人には費用の支払い能力が求められます。そのため、高齢者施設のなかには、身元を保証する身元引受人とは別に、支払い能力のある保証人が必要になることもあります。

2.緊急時の連絡先
高齢者は、施設内で事故や病気によって体調や容態が急変する非常事態がいつ起きても不思議ではありません。そのときに緊急連絡する必要があるためです。

3.意思決定の確認
高齢になると介護・治療方針についての理解力が衰え、合理的な意思決定ができにくくなります。また、認知症などの症状が施設への入所・入院によって急速に悪化して判断能力が衰えることも考えられます。そのような事態に合理的な意思決定をしてもらえる身元保証人への連絡が必要になるためです。

4.死亡後の退居手続きやご遺体・荷物の引き取り
高齢者・医療施設では、入所者・入院者が亡くなることがあります。そのときに死亡を知らせる連絡先が必要なためです。

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  • 身元保証をしてくれる人がいないときの解決方法

9割以上という多くの高齢者・医療施設に高齢者が入所・入院するときは、身元保証・費用の支払い保証をしてくれる身元引受人が必要です。しかし、頼れる家族や親族・友人がいない高齢者が、ますます増加している現実もあります。身元保証をしてくれる人がいない場合、どのようにすればよいのでしょうか? いくつかの解決策を紹介します。

1.自治体のサービスの利用
施設入所のための身元保証サービスではありませんが、高齢化の進展に対応するために住み慣れた地域で高齢者が安心して居住できるようにと住民支援サービスを行っています。例えば東京都の外郭団体「公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター」が行う「あんしん居住制度」では以下の3つのサービスを有料ですが提供しています。

・見守りサービス
・死亡診断書の受け取り・葬儀の実施
・家具などの遺品整理

施設に入居しなくてもよい場合や施設に入居するまでの万が一に対応するために利用できます。なお、自治体のすべてを行っているわけではありません。いざというときに備えて、まず居住地の自治体に確認をしておきましょう。

2.身元保証が不要な施設を利用
身元保証が不要な施設がゼロではありません。施設全体の1割もないので探すのは大変ですが、身元保証がいらない施設を探すことで解決できる可能性があります。また、全国有料老人ホーム協会が2013年に調査した結果によると、介護付きホームは約51%、住宅型ホームは約32%、サービス付き高齢者向け住宅は約36%が「代替手段あり」と回答しています。

その「代替手段」としての代表的なものは、身元保証を不要にする替わりに数百万円を預け金として預ける方法です。預け金の使用について任意後見制度を利用して任意後見人を選任して、その人に管理をしっかり行うようにしておきます。

任意後見制度とは、契約を締結に必要な判断能力があるときに、将来の判断能力の衰えに備えて任意後見人を選任して、お金の管理のほかさまざまなことに関する手続き・管理を契約で取り決めて委任する制度です。任意後見人は、親族や友人・知人あるいは法律の専門家などから選任します。また、数十万円を預けて、死亡時には合祀墓への納骨を了承することで入所できる施設もあります。そのほか、任意後見人を代替で認める施設もあります。その他にも施設によって異なる可能性があるので相談してみるとよいでしょう。

3.民間の団体が行う身元保証サービスを利用
民間の団体が、身元保証をしてくれる人がいない高齢者のために身元保証人の役割を請け負うサービスを提供しています。元気なときにも管理事務の委任や、高齢や認知症、その他の原因で判断能力を失ったときの業務委任、および亡くなった後の遺品などを整理する業務の委任まで幅広く対応してもらえるサービスが提供されています。団体によって、3つの委任業務をすべて行う団体や特定の委任業務を選べる団体などがあります。

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  • まとめ

高齢者施設や医療施設への入所・入院時には、9割をこえる施設で身元保証が求められます。一方で少子化、核家族化、高齢化の進展と未婚率や熟年の離婚の増加でひとり暮らしの高齢者が増えています。ひとり暮らしの高齢者は身元保証をしてくれる身元引受人がいない、あるいは探せないのが一般的で施設への入所・入院が困難になるケースが増えています。そこで身元引受人が必要な理由や見つからないときの対応策について紹介しました。まだ元気な人も身元保証の状況を知って将来に備えてください。