認知症の方は、ご家族が老人ホームやグループホームなどへの入居をすすめても、強く拒む場合があります。認知症という自覚症状がなかったり、自宅を離れたくなかったりなど、理由はさまざま。だからといって無理に入居を決めてしまったら、トラブルのもとにもなり兼ねません。その方の気持ちに寄りそう必要があります。

認知症による入居拒否 イメージ

  • guide_icon_5
  • 認知症による入居拒否とは

認知症とは、脳の障害によって認知機能が低下し、日常生活や社会生活を営めなくなってしまう状態のこと。そのため、専門家がいる施設のほうが適切にケアできる場合があります。しかし、ご家族が施設への入居を望んでも、ご本人が入居を拒否することがあります。

誰でも新しい環境に慣れていくのは大変なこと。なおさら認知症の方であれば、慣れない場所で暮らすことに不安を感じるのも当然です。とはいえ、在宅介護の限界を超えた状態で無理を続け、介護をする方がからだを壊してしまえば、より一層深刻な事態になってしまいます。また、在宅介護の限界がきてから焦って施設を探しても、すぐにご本人やご家族にとって最適な場所を見つけるのは難しいもの。早いうちから施設入居を想定し、あらかじめ状況を整えておくことも大切です。

  • guide_icon_5
  • 認知症による入居拒否の状況

たとえ健康なときには理解を示していても、いざ施設入所の話が出ると、拒絶する高齢者の方は多いといいます。もちろん、認知症の方であっても同じです。敏感に反応し、不安や緊張で混乱してしまうことがあります。泣き叫んだり、暴れたりといった状況になる場合もあります。

  • guide_icon_5
  • 認知症の方が入居拒否する理由

ご本人や介護する方が、お互い良い状態になっていくためにも、認知症の方が施設の入居を拒否する理由をしっかりと把握し、その原因を取り除いていく必要があります。入居拒否の理由として、以下のような事が考えられます。

認知症の方が入居拒否する理由 イメージ

認知症の方ご本人がケアを受ける必要性を理解できない
・老人ホームにネガティブなイメージを抱いている
・住み慣れた家を離れることがイヤ、変化が怖い
・知らない人々との人間関係が不安
・慣れない環境に行きたくない
・施設がどんなところか分からないから不安

  • guide_icon_5
  • 認知症の入居拒否への対策

認知症の方が施設への入居を拒否する場合、必ず何かしら前項のような理由があります。可能な限り、その理由を聞くことから始めてみましょう。それを踏まえたうえで、以下のような対策をとっていくことをおすすめします。

<老人ホームの良さを説明する>

老人ホームという場所に、あまり良い印象を持っていないようであれば、ご本人にその「良さ」を、しっかりと分かりやすく説明することが大切です。快適に過ごせる空間があることや、イベントやレクリエーションなど楽しく過ごすための工夫も凝らされていることなどです。

見学して実際に見てもらうことが一番ですが、いきなり老人ホームへ見学に行こうと言っても、抵抗感を持つ方が多いでしょう。しかし、言葉だけでは伝わりにくいので、具体的にイメージできる資料(パンフレットやホームページなど)を見せながら説明しましょう。

「カラオケ交流会があるよ」「囲碁もできるよ」「個室もあるから静かに過ごせるよ」など、ご本人の趣味や性格にそったポイントを見つけて伝えると、魅力を感じてもらいやすくなります。

<少しずつ慣れてもらう>

少しずつ慣れてもらう イメージ

慣れない場所で生活することに不安があるようならば、デイサービス(通所介護)ショートステイ(短期入所生活介護)、体験入居などで少しずつ慣れてもらいながら、入居のタイミングを探るのも一つの方法です。顔見知りの入居者やスタッフなどができると、施設に対する抵抗感が少なくなるでしょう。焦らずに時間をかけることが大切です。

<かかりつけ医に協力してもらう>

認知症の方がいつも診てもらっている、かかりつけ医(主治医)に状況を説明し、施設への入所をすすめてもらう方法もあります。高齢者の、白衣を着たお医者さんに対する信頼度はとても高いもの。ご家族の意見は聞かなくても、医師の言葉は信じるという場合もあります。さまざまな考え方があるので、必ずしもご協力いただけるとは限りませんが、まずはご相談してみてはいかがでしょう。

<伝え方を工夫する>

認知症の症状がある方に、老人ホームなどへの入居の説明をして同意を得ることは、決して簡単なことではありません。なおさら伝え方を誤ると、拒否反応を強めてしまいます。避けるべきは「疲れたから」「仕事があるから」と介護者側の視点で説明すること。あくまでも、認知症の方ご本人が主体であると伝わるよう、語りかけることが重要です。

例えば「家だと自分がいない時は、不自由な思いをさせてしまう。でも、施設なら常に助けてくれる人がいるので、安心して生活できるはず」といった具合です。

また、「治療が必要だからお医者さんに診てもらいましょう」「退院後のリハビリをもう少し頑張ってから家に帰りましょう」などワンクッション挟んだ説明の仕方で、本人に納得してもらうという方法もあります。とにかく認知症の方が傷つかないように、急激な変化を感じてしまわないように、伝えることが大切です。

  • guide_icon_5
  • おしまいに

重度の認知症で会話が成り立たない方でも、住み慣れた家と、自分の家族と離れて暮らすという事実に対しては敏感です。そのため、ご本人の気持ちをよく理解し、根気よく時間をかけて説明を続ける必要があります。

また、在宅介護の限界という切羽詰った段階で入所を考えるのは、ご本人にとっても、ご家族にとっても辛いこと。早いうちから施設入所を視野に入れ、時間の余裕を持って状況を整えていくことが大切です。

そのためにも、信頼できる情報を集めていくことが必要でしょう。地域包括支援センターや市区町村窓口、または、高齢者施設や認知症にも詳しい老人ホーム紹介事業者などにご相談してみることをおすすめいたします。

なお、認知症の方とご家族が、地域住民の方や、介護・福祉・医療の専門家と身近な場所で集い、交流できる「認知症カフェ(ケアラーズカフェ・オレンジカフェ)」や、娘という立場で介護をする方が集まる「娘サロン」、息子という立場で介護をする「息子サロン」、独身者が集まる「シングル介護者交流会」、「男性介護者の会」といった場もあります。気軽に参加し、同じ悩みを持つ方や、専門家の意見を聞いてみましょう。

  • guide_icon_5
  • おさらい

認知症の方は、ご家族が老人ホームやグループホームなどへの入居をすすめても、強く拒む場合があります。ご本人の気持ちをよく理解し、根気よく時間をかけて説明を続ける必要があります。

入居拒否の理由

認知症のご本人がケアを受ける必要性を理解できない
・老人ホームにネガティブなイメージを抱いている
・住み慣れた家を離れることがイヤ、変化が怖い
・知らない人々との人間関係が不安
・慣れない環境に行きたくない
・施設がどんなところか分からないから不安

入居拒否への対策

・老人ホームの良さを説明する
――認知症の方ご本人の趣味などに関連した施設のサービスを取り上げ、カタログなどを用いてイメージがわきやすいように説明し、ネガティブなイメージを取り除く。

・少しずつ慣れてもらう
――まずはデイサービス(通所介護)ショートステイ(短期入所生活介護)、体験入居などから始め、慣れていってもらう。

・かかりつけ医に協力してもらう
――認知症の方ご本人が信頼している医師に、施設への入居をすすめてもらう

・伝え方を工夫する
――ご家族の視点ではなく、認知症の方を主体にした伝え方にする。

■問い合わせ窓口:地域包括支援センター、市区町村役所、各施設、老人ホーム紹介事業者
■医療機関:神経内科、精神科、脳神経外科、認知症外来

(参考文献)
認知症介護情報ネットワーク(DCnet)>研究報告書>報告書詳細
https://www.dcnet.gr.jp/support/research/center/detail.html?CENTER_REPORT=228

老親が納得して介護施設に入る「言い方」 プレジデントオンライン PRESIDENT Online
http://president.jp/articles/-/18097


  • guide_icon_3
  • 良く読まれる記事ベスト5

1位 幻覚・幻聴・せん妄とは
2位 看取りケア・ターミナルケアとは
3位 高齢者のうつ病とは
4位 小規模多機能型施設と有料老人ホームの違い
5位 まだらぼけ認知症とは

※その他の認知症の症状に関する記事一覧▶︎▶︎

認知症ケアが充実しており、自分らしく安定した生活を過ごせる老人ホーム。徘徊や妄想、トイレなど在宅での介護が難しい方に。
東京 神奈川 横浜 川崎 埼玉 大阪

入居者の人数に対する介護・看護職員の割合が、介護保険法で定める基準の3:1(入居者:介護・看護職員)を上回る老人ホーム。
東京 神奈川 横浜 川崎 埼玉 大阪