運動障害等の神経症状が徐々に進行していくパーキンソン病は、年齢を重ねるほど発症しやすくなるといわれています。パーキンソン病の方が老人ホームに入居する場合の、ポイントやリスクなどを説明します。

1.パーキンソン病について

パーキンソン病は、脳内のドーパミンという成分が減少して起こる病気です。人口10万人当たり、約150人の方が発症するといわれています。

ドーパミンとは、快感・多幸感・意欲・運動調節などに関わる神経伝達物質のこと。人によって異なりますが、パーキンソン病の主な症状は以下の通りです。

運動症状

  • 【振戦】:手足が震える
  • 【筋固縮】:筋肉が硬直する
  • 【無動・寡動】:動きが緩慢、歩幅や動きが小さい、表情が乏しくなる
  • 【姿勢反射障害】:バランスが悪く転びやすい、踏ん張りが効かない、突進する
  • 【嚥下障害】:ものを飲み込みにくくなる

自律神経症状を含む非運動症状

  • 便秘や頻尿
  • 立ちくらみ
  • 気分の落ち込み、意欲低下
  • 不眠、昼間に眠くなる
2.パーキンソン病の方の老人ホーム選びのポイント

病状の進行とともに、より多くの運動症状が現われるパーキンソン病の場合、常に転倒事故の危険性があり、食事などにも時間がかかってしまいます。薬の効果が短くなったり、効果が現れたり切れたりすることもあります。また、気持ちが落ち込んで意欲が出ないといった“うつ”傾向もあります。そのため、老人ホーム選びをする際には、次のポイントをおさえておくといいでしょう。

  • 手すりの設置や段差解消、浴室などがより安全に配慮された住環境
  • パーキンソン病特有の症状を、よく理解したスタッフのケアが充実
  • 薬物効果に合わせた、生活リズムをつくるサポートをしている
  • 薬が切れてしまったとき起こりやすい事故に、細心の注意が払われている
  • 運動療法(リハビリテーション)を、適度に取り入れている
  • できることは時間がかかっても本人の力で行うようサポート

なお、施設の人手や体制が不十分だと、対応が遅れてしまう場合があります。たとえば、パーキンソン病の方が施設のスタッフを待ちきれず、1人でトイレに向かい、転倒してしまったというケースも確認されています。

病気の進行も考慮に入れると、医療連携がしっかりとした、24時間看護スタッフ常駐の、手厚い介護を提供している老人ホームを選ぶとより安心です。

3.パーキンソン病の方の入居条件

パーキンソン病の方の場合、一般的には問題なく老人ホームへの入居が可能です。また、厚生労働省が指定する特定疾病に含まれているため、本来は「65歳以上、介護認定あり」が老人ホーム入居の条件ですが、介護認定を受けているパーキンソン病の方の場合、40歳以上~65歳未満の方でも入居が可能です。

特定疾病とは、加齢によって心身の障害が生じ、3~6ヶ月以上継続して要介護状態または要支援状態となる割合が高い病気を指します。

ただし、入居する方が40歳以上65歳未満の男性の場合、女性のスタッフが多い老人ホームには入居が難しい場合があります。男性スタッフの比率が多い施設を選ぶといいでしょう。

4.入居上のリスク

パーキンソン病の方が認知症を併発した場合、問題行動が増えることが考えられます。また、ものを飲み込みにくくなる嚥下障害になると、食事介助が必要となり、食事内容にも配慮しなければなりません。そうしたことから、これらの症状がある場合、入居自体を断られるケースがあります。

また、入居した後に、そうした状況になることもあります。認知症を併発したり、嚥下障害が起きたりした場合、入居を継続できるかどうかや、必要な介護や支援を受けられる契約かどうかなど、あらかじめ確認しておくことが大切です。

5.おしまいに

近年は医療が発達したため、既存のお薬以外にも、パーキンソン病の進行を抑制する可能性を持つ、新たな治療薬などが見出されています。パーキンソン病の方が無理なく日常生活を送れるケースも数多くあるので、ご入居する方の状態を施設側によく説明し、適切なケアやサポートを受けられるよう、しっかり相談しておきましょう。

また、パーキンソン病の方が自分でできることを行う際には、ご本人を焦らせないよう配慮する、周囲の温かい見守りが大きな力となります。適切なサポートを受けているのであれば、すでに入居されている方の表情も穏やかに落ち着いているはず。見学の際に観察してみるといいでしょう。温かい対応を心がけているのでれば、入居者同様に老人ホームのスタッフも、穏やかな表情を見せているはずです。