高齢者に多いといわれるパーキンソン病は、神経症状が徐々に進行していく病気です。根本的な治療法はまだ見つかっておらず、長期にわたって、身体的、精神的、経済的な負担が大きいことから、療養環境の改善を目指した公的支援制度が設けられています。パーキンソン病の方と、そのご家族のための、公的支援制度のポイントを説明いたします。

1.パーキンソン病の方が受けられる支援制度

パーキンソン病に関連する公的支援制度には、難病医療費助成制度、介護保険制度、身体障害者福祉法、障害者総合支援法、医療保険制度、後期高齢者医療制度、成年後見制度があります。ただし、年齢・収入・重症度によって受けられる制度が異なり、それぞれの専用窓口に申請する必要があります。

2.「ホーン&ヤール重症度」と「生活機能障害度」について

パーキンソン病は重症度(進行度)により受けられる支援が異なります。その指標には、「ホーン&ヤールの重症度分類」と「生活機能障害度」が用いられます。

ホーン&ヤール重症度

  • 1度:ふるえなどの身体症状が片方の手足のみ。日常生活への影響はほとんどなし
  • 2度:ふるえなどの身体症状が両方の手足に。ただし、日常生活の介助は不要
  • 3度:姿勢反射障害が現われ転倒しやすくなるが、介助なしで日常生活を送れる
  • 4度:日常生活の動作が困難になるため、部分的な介助が必要になる
  • 5度:車椅子または寝たきりとなり、全介助が必要となる

生活機能障害度

  • 1度:日常生活、通院にほぼ介助を要しない
  • 2度:日常生活、通院に部分的な介助を要する
  • 3度:日常生活に全面的な介助を要し、歩行・起立不能
3.パーキンソン病の公的支援制度・それぞれの特徴

難病医療費助成制度

※【指定難病の治療法が確立するまで医療費の経済的な負担を支援する制度】

  • 対象は、ホーン&ヤール重症度分類3度以上で、生活機能障害度2度以上の方。
  • 上記の要件を満たさない場合でも、医療費総額(10割)が33,330円を超える月が、年間3回以上ある場合は助成対象となる。
  • 申請の際には、都道府県から指定を受けた難病指定医が作成する診断書(臨床調査個人票)ほか、必要な書類をそろえて、都道府県・指定都市の申請窓口へ提出。
  • 有効期限は原則1年。医療費の助成継続を希望する場合は更新が必要。
  • 助成を受けられるのは医療等にかかわる費用のみなので、診断書の作成費用や、入院時の差額ベッド代や食事費用などは助成対象外。
  • 難病新法原則(2018年1月1日から)により、自己負担が3割だった方は2割となる。
  • 1ヵ月の自己負担上限額を超えた分が助成される。

介護保険制度

※【医療と介護が連携した各種サービスを受けられる、高齢者の介護を社会全体で支える制度】

  • 対象は、65歳以上の方(第1号被保険者)。あるいは、パーキンソン病を含む「特定疾病」が原因で介護が必要であると認定された40〜64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)。
  • 申請書に主治医の氏名・病院名などを記入し、各市区町村の担当窓口へ申請。
  • 申請→訪問調査→その結果や主治医による意見書などをもとに審査→要支援1~2、要介護1~5いずれかに認定。
  • 要支援・要介護認定された場合に1割または2割の費用負担で受けられる介護サービスは、訪問介護、訪問看護、管理指導、訪問入浴、通所介護、訪問リハビリテーション、短期入所、有料老人ホームへの入居、ケアマネージャーによる居宅介護支援、福祉用具貸与、住宅改修など。
  • 要介護認定された場合のみに受けられる主なサービスは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設(老人保健施設)への入居、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など。
  • 要介護度に応じて、1ヵ月に利用できる限度額が設定されており、超過分は全額自己負担となる。

身体障害者福祉法
※【身体障害者手帳の交付を受けることができ、それによって各種支援を受けられるよう定められた法律】

  • 対象は18歳以上で、身体障害者福祉法に定められた障害に認定された方。パーキンソン病の場合は肢体不自由に該当。
  • 申請は、申請書、診断書、証明写真などを準備し、市区町村の担当窓口へ。/li>
  • 主な支援の内容は、医療費の助成(重度心身障害者医療費助成制度)、経済的支援(特別障害者手当、障害基礎年金)、税金の減免、交通に関する割引や補助、住宅に関する優先や融資、映画館などの割引、NHK放送受信料の減免など。
  • ※ただし、自治体により受けられる支援が異なる場合あり

障害者総合支援法
※【障害者の日常生活や社会生活を総合的に支援するための法律】

  • 対象は、18歳以上のパーキンソン病の方(ホーン&ヤールの重症度分類にかかわらず利用可)。
  • 介護保険制度の対象者は、介護保険制度を優先的に適用。
  • 申請は、申請書と身体障害者手帳のコピーなどをそろえ市区町村の担当窓口へ。
  • 支援内容は、介護給付、訓練等給付、補装具、自立支援医療の「自立支援給付」と、理解促進研修・啓発や自発的活動支援、相談支援などの「地域生活支援事業」によって構成されており、多岐にわたる。

医療保険制度、後期高齢者医療制度(75歳以上)
※【保険証の提示で医療費の負担額が減り、ある条件下で自己負担限度額を超えた金額が戻ってくる制度】――難病医療費助成制度が適応されなかった場合に有効活用しましょう。

  • 対象は、公的医療保険に加入している75歳未満の方と、75歳以上の方。

成年後見制度
※【判断能力が十分ではない方々を保護し支援する制度】

  • 対象者は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が欠けている方。
  • 判断能力の程度により決まる支援レベルは「後見」「保佐」「補助」の3つ。
  • 申し立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、弁護士、司法書士、身寄りがなければ市区町村長。
  • 申請書、診断書、戸籍謄本などをそろえ家庭裁判所に申請。
  • 支援内容は、財産管理や契約などの法律行為に関することの保護・支援。
  • 食事の世話や実際の介護などは含まれない。
5.おしまいに

病状の進行速度は個人によって異なりますが、パーキンソン病は、時間が経つほど症状が進行していく病気です。ご自身やご家族だけでは解決が難しいことも多々ありますので、ぜひ、さまざまな公的支援制度を利用し、少しでも負担を少なくしていくようにしましょう。

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