「老人保健施設(老健)」と「有料老人ホーム」は、どちらも高齢者が入所できる施設で、食事の提供、入浴・排せつ・食事の介護、洗濯・掃除等の家事、健康管理、機能訓練(リハビリ・レクリエーション)などのサービスが提供されます。しかし、この2つには、同じ高齢者施設でも全く異なる性質があります。

  • guide_icon_5
  • 「老人保健施設」は公的な施設

「老人保健施設」は、医療法人、社会福祉法人、地方公共団体などが運営する、公的な施設です。「老健」とも呼ばれています。「65歳以上・要介護1以上」の高齢者が対象です。民間が運営する施設よりも費用の負担を抑えられることや、医療ケアやリハビリが充実していること、長期利用できないことが最大の特徴です。

「老人保健施設」には入居一時金がありません。月額利用料のみとなります。「施設サービス費」は介護保険が適用されるので、実費は1割~2割負担。「居住費・食費」「日常生活費」は実費となります。

自立・在宅復帰を目指す施設のため、3カ月ごとに入所継続の判定が行われます。延長できたとしても1年が限度です。また、入所は病状が安定して、入院治療をする必要がない方に限られており、認知症などで精神科の専門的治療が必要な方は対象外となります。
厚生労働省によれば、「老人保健施設」は平成26年(2014)10月1日時点で4,096施設あります。

  • guide_icon_5
  • 「有料老人ホーム」は民間の施設

「有料老人ホーム」は民間の事業者が運営する施設です。「概ね60歳以上」の高齢者が対象で長期利用も可能です。施設により異なりますが、医療設備や看護体制、人員配置数、レクリエーションやイベント、娯楽などが充実しています。地価に家賃を左右されることや、サービス内容が費用に反映されるため、公的な介護施設に比べて費用が高くなる場合もあります。

なお、「有料老人ホーム」には、介護や食事等のサービスが付いた『介護付有料老人ホーム』、食事の提供はあるが、介護サービスは外部の事業所を利用する『住宅型有料老人ホーム』、要介護者の方は入居できない『健康型有料老人ホーム』といった3タイプがあります。つまり、全体でいうと自立した生活が可能な方から介護が必要な方まで、幅広く入所できる施設といえます。

また、「有料老人ホーム」は、基本的に入居待ちをすることが、ほとんどありません。厚生労働省によれば、「有料老人ホーム」は平成26年(2014)10月1日時点で9,632施設あります。

「有料老人ホーム」には入居一時金がなく月額費用だけの施設もあれば、毎月の家賃、または家賃と管理費をまとめて先に支払う前払い(入居一時金)プランもあります。月額利用料には「居住費・食費」「日常生活費」などのほか、介護保険内サービスの1割~2割負担額(※1)が必要となります。

(※1)入浴・排せつ・食事の介護など、介護度や地域に応じた介護サービスにかかる費用。施設により利用した場合のみ負担。

  • guide_icon_5
  • 2つの介護施設それぞれの特徴

「老人保健施設」と「有料老人ホーム」の大きな違いは、公的か、民間かということです。

そして、「老人保健施設」は医療ケアが充実して費用を抑えられるものの、利用が可能なのは短期間のみ。逆に「有料老人ホーム」は施設により費用が高い場合がありますが、長期利用が可能で、さまざまなサービスが充実しているといった特徴があります。

以下の表は、それぞれの大まかな各特徴です。

老人保健施設 有料老人ホーム
目的 在宅復帰を目指す施設 介護になっても高齢期の生活を重視した施設
運 営 医療法人
社会福祉法人
地方公共団体
民間が主
入居対象 65歳以上の要介護者
要介護1以上
概ね60歳以上
自立者・要支援・要介護者
※施設により異なる
入居期間 短期間 長期間
費用(一時金) 不要 必要とする場合あり
費用(月 額) 8万円~20万円
※個室になると有料老人ホームと同等になる
20万円~30万円
医療的ケア
リハビリ
充実している
※医師が常勤、ほか看護職員、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士などが配置。
※ただし重度の医療を必要な方、療養を目的としている場合は入所不可
施設による
※24時間看護職員の配置や、クリニックを併設している場合あり。
※サービスは多様化している
介護体制 3:1 3:1~手厚い介護体制
趣味・娯楽・イベント 比較的少ない 充実している
居 室 ・ユニット型
・従来型個室
・多床室
※相部屋が多い
・一般居室
・介護居室
※基本は個室
  • guide_icon_5
  • おしまいに

現状では、一時的に「老人保健施設(老健)」を利用して、最終的に長期利用が可能な施設に入所するというかたちも少なくありません。しかし、それでは「老人保健施設」本来の姿をなしていないため、在宅復帰率が高い「在宅強化型老健」というものも生まれています。ただし、リハビリや医療・介護体制がより整っているため、従来型よりも多少費用が高くなります。

また、「介護療養型医療施設」廃止に向けて、2008年に厚生労働省が新たな転換先として創設したのが新型老健と呼ばれる「介護療養型老人保健施設」です。老健よりさらに医療や看護に重点を置いており、症状が回復するまで利用できます。

このように、「老人保健施設(老健)」も、さらなる多様化が進む「有料老人ホーム」も複雑さを増し、単純な比較検討だけでは選択しきれない部分があります。市区町村の窓口やケアマネージャーに相談したり、高齢者向け施設全般に詳しい老人ホーム紹介事業者に相談してみてはいかがでしょうか。

  • guide_icon_3
  • おさらい

「老人保健施設(老健)」と「有料老人ホーム」の大きな違いは、公的な施設であるか、民間の施設であるかということです。そして、それぞれには多くの特徴があります。

公的な施設の「老人保健施設(老健)」には入居一時金がありません。月額利用料も民間に比べて低く設定されています。しかし、自立・在宅復帰を目指す施設なので、利用できるのは短期間(3カ月~1年程度)のみです。医療ケアや機能訓練(リハビリ・レクリエーション)は充実していますが、イベント、娯楽などは少なめです。

民間の施設である「有料老人ホーム」は、施設によって高額な入居一時金が必要で、月額利用料も公的な施設に比べて高く設定されています。しかし、そのぶん24時間の医療サービスに、レクリエーションやイベント、娯楽などが充実している場合があります。また、とても入居しやすく、数多くある施設から好みにあった施設を選択することが可能です。

■問い合わせ窓口:各施設、地域包括支援センター、市区町村役所、老人ホーム紹介事業者