「介護療養型医療施設」は、重度の要介護者に医療ケアやリハビリを行う医療施設です。また、それぞれの能力に応じ、自立した日常生活を営めるようにするための施設でもあります。

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  • 介護療養型医療施設の特徴

「介護療養型医療施設」は、主に医療法人が運営する施設です。医療的管理が必要な原則65歳以上で「要介護1」以上の認定を受けた高齢者が対象です。要支援1・2の方は利用できません。また、施設によってさまざまですが、「伝染病などの疾患がない」「長期入院を必要としない」などの入所条件があります。入所にあたっては、特に重度の要介護者が優先されます。

厚生労働省によれば、「介護療養型医療施設」は、平成26年(2014)10月1日時点で1,520施設があります。

この施設の大きな特徴は、他2つの介護保険施設「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」「老健(介護老人保健施設)」に比べ、医学的な管理体制がとても充実していることです。入所者100人(床)に対し医師3人という、介護保険施設のなかで最も医師の配置数が多いことも特徴です。なお、「介護療養型医療施設」は医療法と介護保険法に基づいており、「病院」と区分されています。

また、病床は重度の要介護者のための『介護療養病床』と、重度の認知症の方のための『老人性認知症疾患療養病床』に分けられています。長期にわたって療養が必要な方の入所を受け入れていますが、あくまでも、その方の日常生活能力に応じた自立を目標としているので、「特別養護老人ホーム」のように長期利用できない場合があります。

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  • 介護療養型医療施設の居住形態

施設によって様々ですが、介護療養型医療施設は4人部屋(多床室)であることがほとんどです。その形態に加え、以下のような居住形態もあります。

◯「多床室」

…ひとつの部屋を4人の入所者で利用する相部屋(大部屋)。整理箪笥やカーテン等で仕切られ、1人あたり6.4?以上確保と指定されている。

◯「従来型個室」

…完全個室であるためプライバシーの確保が可能。

◯「ユニット型個室」

…入居者の状態に合った医療ケアやサービスを最適に行うため、ひと単位のグループに区切られた個室。居住形態のなかでは一番高額。

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  • 介護療養型医療施設で受けられるサービス

医師・看護師・介護職員による医療ケアや看護、介護のほか、理学療法士または作業療法士によるリハビリテーションが受けられます。一般病棟が併設されている施設もあり、容態が悪化したときに移ることが可能です。
ただ、医療ケアが充実している一方で、生活支援サービス(掃除・洗濯・買い物など)や、レクリエーションなどはあまり提供されていません。

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  • 介護療養型医療施設の利用者負担

「介護療養型医療施設」は介護保険施設であるため、民間が運営する介護施設より低額で利用することが可能です。しかし、医療体制が充実している施設であるため、「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」や「老健(介護老人保健施設)」よりも利用料が高くなります。

介護療養型医療施設の利用者負担の、おおまかな内訳は、

「施設サービス費」+「居住費・食費」+「日常生活費(理美容代など)」です。

初期費用はありません。

「施設サービス費」は、介護保険が適用されるので実費は『1割負担』です。負担額は、施設の設備やサービス、居室の種類、職員の配置などによって異なります。また、要介護度が高くなるほど高額になります。

「居住費・食費」「日常生活費」においては、保険外なので『実費』となります。

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  • 介護療養型医療施設に入所するためには

もしも、まだ介護認定を受けていない場合は、各市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」を申請する必要があります。市区町村の職員による自宅訪問などが行われ、介護度が判定されます。判定が要介護1以上である場合は、「介護療養型医療施設」への入居が可能です。

「介護療養型医療施設」への申し込みは、施設に直接申し込みます。介護認定を受け担当になったケアマネージャー(介護支援専門員)さんに申込みをお願いすることもできます。

申し込み後は、面談や、主治医意見書・診断書・介護度・介護者の状況・待機期間などから総合的に判断され、入所が決まります。

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  • 介護療養型医療施設の廃止と転換について

「介護療養型医療施設」の入所者は要介護4・5の方が約8割を占めており、施設はほぼ埋まっています。そのため、非常に入所することが難しい施設といえます。しかし、それ以前に、「介護療養型医療施設」は廃止する方向へと動いているという事実があります。

「介護療養型医療施設」は、胃ろうやインスリン治療、たん吸引などの医療ケアも充実しているので、各地域にとって非常に存在価値の高い施設です。しかし、社会的入所(医学的には入院の必要がないけれど、家庭の事情などにより病院で生活をしている状態)などの問題で、医療コストや社会保障が圧迫されているため、廃止の方針が打ち出されているのです。したがって、平成24年(2012)以降、「介護療養型医療施設」における『介護療養病床(重度の要介護者用)』の新設は認められていません。

なお、「介護療養型医療施設」廃止に向けて、「老健(介護老人保健施設)」の医療ケアをより充実させた「新型老健(介護療養型老人保健施設)」への転換が予定されています。また、平成27年(2015)4月の介護報酬改定に伴い、介護療養病床の新しいタイプとして「療養機能強化型介護療養型医療施設」が新たに設けられました。しかしながら、「介護療養型医療施設」廃止における転換については、未だ模索が続いており、平成27年(2015)7月に「療養病床の在り方等に関する検討会」が設置され、新たな移行先を検討中です。

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  • おしまいに

医療体制が充実している「介護療養型医療施設」は入所を希望する人が多く待機している施設ですが、今後、制度が変わっていくことは確実です。「介護療養型医療施設への入所を考えていたのに、どうしていいのかわからなくなってしまった」という場合は、担当のケアマネージャー(介護支援専門員)さんや、医療機関で働くソーシャルワーカー(社会福祉士)さんに、どんどん相談してみましょう。最新の情報を得られるはずです。

なお、介護保険施設なので、民間の有料老人ホームよりも費用は安くなりますが、「介護療養型医療施設」のように医療ケアが充実した施設の場合、医療処置などにより、思いのほか費用が高くなってしまうことがあります。また、自立を目的とした施設であるため、症状が改善すると退所しなければならない可能性もあります。

そのような場合を考え、絞りすぎず、民間の有料老人ホームなども視野に入れ、広く情報を集めて選択肢を広げておくことをお勧めします。その際は中立的で、正直かつ的確なアドバイスをくれる専門家に相談しましょう。より最適な施設が見つかるだけではなく、心にズッシリときていた重荷まで軽くしてくれるはずです。

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  • 【おさらい】

「介護療養型医療施設」は、重度の要介護者に医療ケアやリハビリ、介護を行う医療施設です。医療体制が充実していますが、生活支援サービスやレクリエーションなどは期待できません。また、介護保険施設なので、要介護1以上の認定を受けていないと利用できません。

■特徴:重度の介護者のための医療施設

■対象者:原則65歳以上の要介護1以上の方
※但し、40歳から64歳まで(第2号被保険者)の方で、「特定疾病」が原因となって、介護が必要であると認定された場合は入居可能。

■利用できる期間:症状が改善するまで

■問い合わせ窓口:各施設、地域包括支援センター、市区町村役所