サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションの違い

介護保険施設、福祉施設、有料老人ホームなどのほかに、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」と「シニア向け分譲マンション」といった、高齢者の方々向けの住宅があります。

「サービス付き高齢者向け住宅」は、都道府県単位で行われる登録制の住まいです。『高齢者住まい法』が平成23(2011)年に改訂され、国土交通省・厚生労働省共管として生まれました。高齢者にふさわしい住宅としての登録基準があり、概ね60歳以上の方が対象で、親族などとの同居も可能な賃貸住宅です。

「シニア向け分譲マンション」は、登録制でもなく、自治体に届け出をする必要もないので基準はありませんが、食事や家事、緊急時における対応のほか、建物内に医療機関や薬局があるなど、高齢者向けのサービスが充実している所有権方式の分譲マンションです。マンションによっては、年齢制限を設けている場合があります。

いずれも民間の運営による、高齢者向けサービスがついたバリアフリーの住宅ですが、さまざまな違いがあります。

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  • 所有権の違い

【サービス付き高齢者向け住宅】に入居する場合は、賃貸契約を交わします。高齢者向けのサービスがあるという以外は、ほぼ一般的な賃貸住宅と同じです。そのため、もちろん所有権はありません。

【シニア向け分譲マンション】は、その名の通り所有権方式の分譲マンションです。資産として保有し、運用・相続することも可能です。また、管理組合もあるので、管理運営の変更・決定は所有者の意志で行えます。

サービス付き高齢者向け住宅 シニア向け分譲マンション
所有権 無し 有り

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  • 入居における料金の違い

【サービス付き高齢者向け住宅】は一般的な賃貸契約と同様に、初期費用として必要になるのは敷金程度です。また、月額費用は家賃・管理費・共益費などです。

【シニア向け分譲マンション】は所有権契約なので、一般的な分譲マンションと同じように、かなり高額な購入費用が必要となります。購入後もマンションの管理費や、修繕積立金などが月々かかります。サービスが充実していればいるほど、それらの額は高くなります。そのほか、固定資産税も必要になります。

サービス付き高齢者向け住宅 シニア向け分譲マンション
初期費用 敷金など
(~数十万円) 購入費用
(数千万~数億円)
月額費用 家賃・管理費・共益費など 管理費・修繕積立金など
その他 ― 固定資産税

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  • 住環境・食事サービスなどの違い

【サービス付き高齢者向け住宅】の登録基準は各都道府県により異なりますが、基本的な基準はバリアフリー構造のほか、25㎡以上(場合により18㎡以上)の床面積、トイレや洗面所等の設置などです。また、ケアの専門家による安否確認・生活相談サービスは義務づけられており、契約の際の事業者による情報提供の義務やルールなどもあります。また、カラオケや麻雀などの娯楽や、イベント、レクリエーションを楽しめるようなタイプもあります。なお、特定施設入居者生活介護(通称・特定)の指定を受けている施設の場合は、介護職員や看護師による日常生活のサポート(食事・掃除・洗濯など)が提供されます。特定施設ではない場合、食事のオプションサービスを選ぶか外食、もしくは自炊で行います。

【シニア向け分譲マンション】は分譲マンションなので、サービス付き高齢者向け住宅に比べて居住スペースは広めです。また、一般的な分譲マンションよりも、高齢者の方々が過ごしやすいよう共有スペースがゆったりとつくられています。もちろんバリアフリー設計です。物件によりサービスは異なりますが、あらゆるサポートを行うフロントサービスや、見守り、緊急時の対応も兼ねた看護師や管理人の常駐などがあります。食事や家事サービスの有無や特徴はさまざまですが、豪華なレストランや温泉施設、シアタールームにフィットネス、囲碁、マージャンなどの娯楽スペースなど、まるでリゾートホテルのように充実している場合があります。

サービス付き高齢者向け住宅 シニア向け分譲マンション
住空間 バリアフリー
床面積25㎡以上が基準 バリアフリー
ゆったり広い。3LDKや70㎡あるものもの
見守り・緊急時の対応 有り 有り
食事 オプションサービス
※特定施設の場合は提供 オプションサービス

日常生活のサポート オプションサービス
※特定施設の場合は提供 オプションサービス

娯楽設備・レクリエーション・アクティビティ 充実している施設もある かなり充実している

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  • 介護・医療サービスの違い

【サービス付き高齢者向け住宅】では、特定施設入居者生活介護(通称・特定)の指定を受けている施設の場合は、介護職員や看護師による介護(入浴・食事・排泄など)、リハビリなどのサービスが提供されます。特定の指定を受けていない場合は、外部の介護サービスを利用することになります。介護サービス事業所が併設されていたり、近隣の医療機関と連携を密にしている場合もありますが、事業者により大きく異なります。

【シニア向け分譲マンション】の場合も、介護が必要になった場合は基本的に外部の介護サービスを利用します。しかしながら、高齢者の方の安心感にともない人気が集まる物件のため、建物のなかにテナントとしてクリニックや介護サービス事業所、薬局が入っている場合も少なくありません。

サービス付き高齢者向け住宅 シニア向け分譲マンション
介護 外部の介護サービス
※特定指定の場合は提供 外部の介護サービス

医療 地域の医療機関と連携している場合あり マンション内に医療機関がテナントとして入っている場合あり

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  • メリット・デメリットの違い

サービス付き高齢者向け住宅と、シニア向け分譲マンションは、それぞれの特徴にともない、さまざまなメリットがあれば、デメリットもあります。

サービス付き高齢者向け住宅 シニア向け分譲マンション
メリット
・初期費用を抑えられる
・賃貸契約なので気軽に入退去できる
・施設数が多いので選択肢が幅広い ・資産になる
・ゆったり広々している
・各種サービスや娯楽やレクリエーション、アクティビティが充実している
・サービス内容は入居者の意志で変更可能

デメリット
・夜間のサポートは手薄になる
・重度の介護が必要になると介護サービス費用がかさみ生活を維持しにくい ・初期費用が高額
・気軽に入退去できない
・物件が少ないので選択肢が少ない
・入居時に認知症、重度の介護が必要だと入居できない
・なかなか売却できない
・元気な方向けのサービスが多いため、介護が必要になると不要になる

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  • おしまいに

介護サービス事業所の併設や、医療機関との連携、テナントとして建物内にあるなど、まったく介護や医療サービスを受けられないわけではありませんが、「サービス付き高齢者向け住宅」「シニア向け分譲マンション」いずれも自立~軽介護の高齢者の方を対象にしています。

そのため、特定施設入居者生活介護(特定)の指定を受けた「サービス付き高齢者向け住宅」以外は、介護度が高くなると、利用ごとにかかる介護サービス費用が、大きな負担になってしまう可能性があります。

もちろん、この超高齢化社会において、高齢者向けの住宅はどんどん多様化しています。しかし、すぐに設備やサービスがどの住宅においても平均的に充実することはあり得ません。

たとえ、自立もしくは介護度が低い状態で住みはじめたとしても、いずれ介護が必要になったときどう対処するかを、必ず視野に入れて選ぶ必要があります。介護が必要になったときの生活や費用の想定をせずに要介護度が高くなってから介護が充実した施設を探し、住み替えるというのは大変です。高齢者向けの住宅を選ぶ際、どんな状態まで住み続けられるか、または介護専用の施設に住み替えることも想定し、探していくことが得策です。

しかし、それはあまりにも専門的で難しい計画でもあります。だからこそ、老人ホーム紹介事業者のような高齢者住宅について詳しい専門家に、さまざまな選択肢を提案してもらってはいかがでしょう。難しく頭を悩ませていた未来の選択が、シンプルで楽しい選択に変わるかもしれません。

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  • おさらい

「サービス付き高齢者向け住宅」は、都道府県単位で行われる登録制の、賃貸住宅の住まいです。「シニア向け分譲マンション」は、高齢者向けのサービスが充実している所有権方式の分譲マンションです。

いずれも高齢者向けの住宅で、バリアフリー構造ですが、基準が定められているか、資産になるか、初期費用の差や、充実した娯楽施設の有無などに違いがあります。

ただし、高齢者向けの住宅とはいえ、どちらも自立~軽度の要介護の方が対象です。特定施設入居者生活介護(特定)の指定を受けた「サービス付き高齢者向け住宅」以外は、介護が必要になった場合は外部の介護サービスを利用することになるので、利用頻度が高くなるほど費用がかかります。

■問い合わせ窓口:地方公共団体、各施設、老人ホーム紹介事業者