介護保険と加算請求について

急速に少子高齢化が進む日本では、介護を必要とする高齢者のサポートを家族だけで行うことは困難になってきています。そこで、介護が必要となった高齢者やその家族が安心して日常生活を送れるよう、社会全体で支え合うためにスタートしたのが「介護保険制度」です。
保険の加入者は、第一号被保険者(65歳以上の人)と、第二号被保険者(40歳~64歳の人で医療保険に加入している人)に区分されています。
保険者は、保険の加入者が住んでいる市町村になります。
第一号被保険者は、保険者が行う「要介護認定」によって介護もしくは支援が必要だと認定されれば、いつでも介護サービスを受けることができます。第二被保険者の場合は、特定疾病が原因で介護や支援が必要となったときに、要介護または要支援の認定を受けることによって、介護サービスを利用することができます。

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  • 介護保険と加算とは

介護保険のサービスにはさまざまなものがありますが、その中にはサービスの内容によって料金が増額されるものがあります。
加算される金額は、自治体、事業所の種類、サービスの内容、サービスを提供する時間帯、緊急度などによって異なります。送迎や時間延長のように、基本的なサービスに追加された業務に対して加算されるもののほか、事業所等で働く職員の体制を強化する、資格に応じ処遇を厚くするなどの目的のために加算されるものもあります。いずれにしても、介護サービスの質の向上のために設けられた制度です。

事業所が加算を請求をするためには、指定の資格を有した職員がいる、決められたように人員配置をしているなど、定められた条件を満たしている必要があります。条件の内容は、それぞれのサービスによって異なります。

サービスごとの条件は、以下のようになっています。

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  • 夜間体制加算

その事業所で夜間に働くスタッフを配置することによって、夜間でも介護に必要な支援を提供できる体制を整えておくことに対する加算です。

【条件】
・夜間支援等体制加算Ⅰ
①夜勤を担当する夜間支援従事者を配置すること
②夜間および深夜の時間帯(PM10時~AM5時までは必須)を通じて、必要な介護等の支援を提供できる体制を確保すること

・夜間支援等体制加算Ⅱ
①宿直を行う夜間支援従事者を配置すること
②夜間および深夜の時間帯(PM10時~AM5時までは必須)を通じて、定期的な居室の巡回や緊急時の支援等を提供できる体制を確保すること

・夜間支援等体制加算Ⅲ
夜間および深夜の時間帯を通じて、必要な防災体制または利用者の病状の急変その他の緊急の事態が発生したときに、利用者の呼び出し等に速やかに対応できるよう、常時の連絡体制を確保する

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  • 個別機能訓練加算

個別機能訓練加算には、2種類あります。Ⅰは利用者が必要とする機能訓練を通して、身体の機能を維持することを目的としたもの。Ⅱは、食事や入浴といった日常生活の動作(ADL)や、お金の管理や服薬の管理といった日常生活を送るために必要な行動・動作(IADL)を維持することを目的としたものです。

【条件】
・個別機能訓練加算Ⅰ
その事業所がサービスを提供する時間内に常勤する機能訓練指導員(※)が1名必要
・個別機能訓練加算Ⅱ
サービスを提供する時間帯のみ、機能訓練指導員(※)を配置する

※機能訓練指導員…看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師など

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  • 看取り介護加算

介護施設に入居しており、医師によって回復の見込みがないと診断された人に対して看取り介護を行った場合に加算されます。

【条件】
・常勤の看護師を1名以上配置し、当該指定介護老人福祉施設の看護職員、または病院、診療所、訪問看護ステーションの看護職員との連携によって、24時間の連絡体制を確保してあること
・看取りに関する指針を定め、入所の際に入所者または家族に対して、その指針を説明し、同意を得ていること
・看取りに関する職員研修を実施していること
・看取りを行う際に個室または静養室等の利用が可能となるよう、配慮されていること

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  • サービス提供体制強化加算Ⅰ~Ⅲ

一定の基準を満たしている介護事業所が、サービス体制を特に強化した場合に加算されるものです。
【条件】
・サービス提供体制強化加算Ⅰ イ
介護職員の総数のうち、介護福祉士の割合が50%以上であること

・サービス提供体制強化加算Ⅰ ロ
介護職員の総数のうち、介護福祉士の割合が40%以上であること

・サービス提供体制強化加算Ⅱ
通所介護を利用者に直接提供する介護職員(生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員)のうち、勤続3年以上のものが30%以上であること

・サービス提供体制強化加算Ⅲ
療養型通所介護事業の「デイサービス」の療養通所介護を利用者に直接提供する職員の総数のうち、勤続年数3年以上の者の占める割合が30%以上であること

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  • 介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅳ

介護職の離職率の高さを改善するため設けられた加算制度です。主に介護職員の賃金アップに充てることを目的としています。
賃金改善に関する計画を策定すること、その計画をすべての職員に周知し自治体に届け出ること、賃金改善を実施すること、年度ごとに処遇改善に関する実績を都道府県知事に報告すること、労働に関する法令を遵守すること、労働保険料の納付を適切に行っていることなどの条件は、Ⅰ~Ⅳに共通しています。
Ⅰ~Ⅳの条件の違いは、次に示す「キャリアパス要件」Ⅰ・Ⅱ、および新旧の「定量的要件」によります。

○キャリアパス要件Ⅰ
厚生労働省によって、以下のように定められています。
①介護職員の任用の際における職位(役職)、職責または職務内容に応じた任用等の要件を定めていること
②①に掲げる職位(役職)、職責または職務内容に応じた賃金体系について定めていること
③①および②の内容について就業規則などのもので書面で明確にし、周知していること

○キャリアパス要件Ⅱ
厚生労働省によって、以下のように定められています。
①次のア)またはイ)の条件を満たした計画を作成していること
ア) 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等を実施(OJT、OFF-JT)するとともに介護職員の能力評価を行うこと
イ) 資格取得のための支援(金銭、休暇の取得など)を行うこと
②上記の内容をすべての介護職員に周知していること
資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること。

上記のキャリアパス要件をもとにした、介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅳの条件は次のようになります。

【条件】
・介護職員処遇改善加算Ⅰ
①キャリアパスⅠおよびⅡを満たしている
②平成27年4月から計画書の届出の日の属する月の前月までに実施した介護職員の処遇改善の内容(賃金改善に関するものを除く。)及び当該介護職員の処遇改善に要した費用を全ての職員に周知していること(新たな定量的要件)

・介護職員処遇改善加算Ⅱ
①キャリアパスⅠまたはⅡを満たしている
②平成20年10月から計画書の届出の日の属する月の前月までに実施した介護職員の処遇改善の内容(賃金Ⅱを満たしている改善に関するものを除く。)及び当該介護職員の処遇改善に要した費用を全ての職員に周知していること(既存の定量的要件)

・介護・介護職員処遇改善加算Ⅲ
キャリアパスⅠ、Ⅱ、既存の定量的要件のいずれかを満たしている

・介護・介護職員処遇改善加算Ⅳ
キャリアパスⅠ、Ⅱ、既存の定量的要件のいずれも満たさない

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  • 入院時情報連携加算(医療連携加算)

グループホームでは、利用者のさらなる高齢化に伴って、認知症などの症状が重度化した入所者が増えています。入院時情報連携加算は、入居している人が馴染みのある環境のなかで最期を迎えることができるように設けられた「医療連携加算」が、平成24年度の介護報酬改定で「入院時情報連携加算」として見直されたものです。要介護者が病院に入院することになった際、病院や診療所に、要介護者の心身の状況や生活環境などの情報を、介護施設から提供する場合に加算されます。

【条件】
・入院時情報提供加算Ⅰ
医療機関へ出向いて、病院や診療所といった医療機関の職員と面談し、必要な情報を提供した場合
・入院時情報連携加算Ⅱ
Ⅰ以外の方法により、必要な情報提供を行った場合

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  • 入院時情報連携加算(医療機関連携加算)

介護施設を利用している人が医療機関に入院するときに、介護施設において看護職員が記録していたその人の健康状態の情報を、医療機関に提供した場合に加算されます。

【条件】
・入院時情報連携加算Ⅰ
病院や診療所を直接訪問し、必要となる利用者の情報を提供した場合
・入院時情報連携加算Ⅱ
Ⅰ以外の方法により、情報提供を行った場合

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  • 夜間看護体制加算

訪問看護ステーションなどと連携をして、夜間においても24時間体制で看護師を確保するために加算される制度。要介護者の健康上の管理を行うための加算で、体制が整備されている施設を利用した場合に加算される。

【条件】
・常勤の看護師を1名以上配置し、看護責任者を定めている
・看護職員、医療機関や訪問看護ステーションとの連携によって、24時間連絡体制を確保して、健康上の管理を行える体制を確保している
・重度化した場合の対応にかかる指針を定め、入居の際、入居者とその家族への説明を行って同意を得ている

いずれの加算も、自治体や介護サービスを提供する事業所によって、加算される金額(ポイント)が異なります。
新たなサービスを利用することになったり、要介護者の心身の状態が変化して今まで以上のケアが必要になったりした場合は、ケアマネージャーに相談して、サービスの追加や変更を検討するとよいでしょう。その際、サービスの追加や変更に伴って、介護保険の加算がなされる可能性もありますので、ケアマネージャーに確認しておくと安心です。