有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」は、共に高齢者のための居住施設です。どちらも民間事業者による運営なので、共通する部分が多くあります。しかし、施設と住宅という性質の違いがあります。

有料老人ホーム」とは、入居者に、食事の提供、入浴・排せつもしくは食事の介護ほか、日常生活の介護支援を行う民間の施設です。

「概ね60歳以上」の高齢者が対象で長期利用も可能です。施設により異なりますが、医療設備や看護体制、人員配置数、レクリエーションやイベント、娯楽などのサービスが充実しています。地価による家賃への影響や、サービス内容により、公的な介護施設に比べて費用が高くなる場合もあります。

なお、「有料老人ホーム」には、特定施設入居者生活介護の指定を受けている『介護付有料老人ホーム』、食事や生活支援等のサービスを受けられる『住宅型有料老人ホーム』、家事手伝いのサポートを受けられる『健康型有料老人ホーム』といった3タイプがあります。全体でいうと自立した生活が可能な方から介護が必要な方まで、幅広く入所できる施設といえます。

有料老人ホーム」は、特別養護老人ホームのように入居待ちをすることが、ほとんどありません。厚生労働省によれば、「有料老人ホーム」は平成26年(2014)10月1日時点で9,632施設あります。

有料老人ホーム」には入居一時金(前払い金)があり、施設によっては金額がとても大きい場合があります。逆に入居一時金がなく、その分を月額利用料に設定している施設もあります。月額利用料には「居住費・食費」「日常生活費」などのほか、介護保険内サービスの1割~2割負担額(※1)が必要となります。

(※1)入浴・排せつ・食事の介護など、介護度や地域に応じた介護サービスにかかる費用。住宅型有料老人ホーム健康型有料老人ホームを利用した場合のみ負担。

サービス付き高齢者向け住宅」とは、『高齢者住まい法(※2)』が平成23(2011)年に改定され生まれた、登録制の賃貸住宅です。地方公共団体が住宅の登録、指導・監督を行っており、「サ高住」とも呼ばれています。サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムによると、平成28(2016)年11月末時点で6,422棟、209,354戸数が登録されています。

基本的な登録基準は、『バリアフリー・床面積25㎡以上(場合により18㎡以上)・トイレや洗面所等の設置』や、ケアの専門家による『安否確認サービス・生活相談サービス』です。そのほか、高齢者が安心できる賃貸契約であることや、家賃等に関する安全措置などがとられており、事業者による契約前の情報開示やサービス等の説明も義務づけられています。行政による報告徴収、立ち入り検査や指導・監督なども行われます。

また、特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合、介護職員や看護師による日常生活のサポート(食事・掃除・洗濯など)や介護(入浴・食事・排泄など)、リハビリなどのサービスが施設内で提供されます。通称「特定」と呼ばれています。入居一時金はなく、一般の賃貸住宅のように初期費用は敷金程度です。「特定」の介護サービス費は介護度に応じた定額ですが、指定を受けていない場合は外部の介護サービスを利用した分だけ加算されます。

なかには有料老人ホームのように娯楽設備が充実し、イベントやレクリエーションを楽しめるタイプもあります。また、医療ケアが充実しているものも増えています。守られた環境で、自由に楽しく生活することができますが、新規参入の事業者が多いことから介護事業者としての歴史が浅く、信頼度の部分では未知数です。

(※2)「高齢者住まい法」……高齢者の居住の安定確保に関する法律

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  • 2つの居住施設それぞれの特徴

以下の表は、「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」の大まかな各特徴です。

有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅
運 営 民間が主 民間が主
入居対象 概ね60歳以上
自立者・要支援・要介護者
※施設により異なる
民間が主
基本的なサービス 食事の提供、入浴・排せつもしくは食事の介護ほか、日常生活の介護支援 安否確認、生活相談
入居期間 長期間 施設により異なる
初期費用 入居一時金を
必要とする場合あり
敷金など
月額費用 20万円~30万円 13万円~30万円
医療対応 看護師の常駐、定期的な往診医による健康管理
施設による
※24時間看護職員の配置や、クリニックを併設している場合あり。サービスは多様化
医師・看護師の配置義務がないため、医療対応不可のこともある
※特定施設の場合、提携医療機関による往診、日中の看護職員常駐、クリニックを併設している場合あり。サービスは多様化
趣味・娯楽・イベント 充実している 事業者による
居室 個室
トイレ・洗面のみの居室が多い
個室
トイレ・洗面の他、ミニキッチン、お風呂がついたお部屋が多い
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  • おしまいに

サービス付き高齢者向け住宅」は、国土交通省・厚生労働省共管として高齢者のために生まれた登録制の住まいなので、高齢者施設とワンルームマンションが合わさった印象です。そのため、安心な環境でありながら「有料老人ホーム」に比べて自由度が高く、費用も安いと思われるかもしれません。

しかし、実際には賃料のほかに食費や管理費、介護サービス費、日用品などが必要になります。そうなると、費用面は「サービス付き高齢者向け住宅」「有料老人ホーム」いずれも、事業者によって異なり、一概に安いとは限りません。

性質が違う高齢者施設を単純に比較するのは難しいですが、時に「有料老人ホーム」か「サービス付き高齢者向け住宅」か悩んでしまうこともありますよね。そのような場合は、老人ホーム紹介事業者などのプロフェッショナルにご相談してみましょう。性質が違う高齢者施設を比較しながら、高齢者の方やご家族が望む将来の住まい計画を立てるという、面倒なことを代わりに行ってくれるはずです。

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  • おさらい

有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」は、どちらも民間事業者が運営する高齢者のための居住施設ですが、高齢者施設と住宅という性質の違いがあります。また、「サービス付き高齢者向け住宅」は地方公共団体が住宅の登録、指導・監督を行っていますが、有料老人ホームに比べ基準はゆるく、登録制です。「特定施設」と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅は、『介護付有料老人ホーム』と同様特定施設入居者生活介護の指定を受けており、施設内に介護スタッフが常駐しています。

食事の提供、入浴・排せつもしくは食事の介護ほか、日常生活の介護支援といった基本的なサービスは同じです。しかし、「有料老人ホーム」の場合は初期費用が一時入居金ですが、「サービス付き高齢者向け住宅」の場合は住宅なので敷金となります。

■問い合わせ窓口:各施設、地方公共団体、地域包括支援センター、老人ホーム紹介事業者