「ことば」は、人と人とのコミュニケーションにおいて、とても重要な役割を担っています。しかし、病気やケガ、発達の遅れ、高齢により、コミュニケーションが難しくなる場合があります。

言語聴覚士は、さまざまな原因で「ことば」によるコミュニケーションに問題を生じた方が、自分らしい生活を送れるよう支援する専門職です。また、食事の際に起こる問題にも専門的に対応するため、「話す・聞く・食べる、のスペシャリスト」といわれています。

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  • 言語聴覚士の概要

言語聴覚士は、医療機関、保健・福祉機関、教育機関などあらゆる現場で活動する、国家資格の専門職です。Speech-Language-Hearing Therapist(ST・スピーチ-ランゲージ-ヒアリング・セラピスト)とも呼ばれています。ことばによるコミュニケーションの問題を明らかにするため検査を実施して、必要に応じて適切な訓練プログラムを作成・実施し、指導、助言、そして心のケアなどの援助を多方面から行います。

ことばを発するために必要な舌や口唇、声帯などの発声発語器官は、もともと摂食や呼吸のための器官なので、言語障害と、食べることの障害には密接な関係があります。

そのため、ことばの訓練だけではなく、食べることや飲み込むことに問題を生じた方には、医師の指示に基づいて、専門的に摂食や飲み込む(嚥下)訓練も行います。また聴覚障害がある方には医師の指示に基づいて検査を行い、補聴器の装用指導なども行います。言語聴覚士の数は年々増加しており、平成28(2016)年時点での累計合格者数は27,274名です。

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  • ことばによるコミュニケーションの問題とは

ことばでコミュニケーションをとるには、言語・聴覚・発音・認知など、あらゆる機能が必要となります。そのため、ことばによるコミュニケーションの問題は、下記のとおり多岐にわたります。

「言語の障害」……脳卒中後におこる失語症(※1)、
「声の障害」……声帯や呼吸筋の障害により声が出にくくなる
「発音の障害」……舌や唇などの運動障害により、ろれつが回りにくくなる
「聴覚障害」……耳が聞こえにくくなる

(※1)失語症(しつごしょう)とは、脳卒中(脳出血、脳梗塞などの脳血管障害)によって脳が損傷され、聞く・話す・読む・書くといった言語活動が困難になること。

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  • 言語聴覚士が一員となるチーム

言語聴覚士の活動は、各現場の医療従事者等と連携し、チームの一員として行われます。理学療法士、作業療法士らと同様に、医師の指示のもとで業務を行う「コメディカルスタッフ」とも呼ばれています。各現場の、言語聴覚士以外のメンバーは以下のとおり。

【医療機関】
医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士
【福祉機関】
ケースワーカー・介護福祉士・介護支援専門員
【教育機関】
教師・心理専門士

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  • 言語聴覚士による高齢者への対応

言葉がうまく話せない、耳が遠い、食べる・飲むことが困難といった症状は、高齢者に多い障害です。このようなときに、「話す・聞く・食べる、のスペシャリスト」である言語聴覚士は、その方の状態に合った、ことばによるコミュニケーション訓練のほか、口を開ける、噛む、飲み込むといった練習や指導、補聴器や点字器の練習や指導を行います。

嚥下(飲み込み)訓練を行う場合、高齢者の方一人ひとりに合った食事の姿勢や食形態(食事の方法・内容・間隔・食器など、食事に関する総合的状況)の調整をして、実際に食べものを用いて訓練を行うため、言語聴覚士によるリハビリはとても日常生活に寄り添っています。

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  • おしまいに

食べること、人とコミュニケーションをとることは、人間が生きていくうえで欠かせないことです。言語聴覚士のお仕事は、生きていくために必要なことが難しくなった方々をサポートするという、とても重要な役割を担っています。

しかし、なによりも大切にしているのは、その方らしい豊かな生活を送ることです。訓練や指導だけではなく、ことばでうまくコミュニケーションがとれない患者さんの気持ちを読み取ったり、嚥下障害が起きている高齢者の方が、ほんのわずかでも食べる喜びを見出すことが、この専門職の価値といえます。

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  • おさらい

言語聴覚士は、さまざまな原因で「ことば」によるコミュニケーションが難しくなった方に対し、検査、訓練プログラムを作成・実施し、指導、助言、心のケア、その他の援助を多方面から行います。

食べることや飲み込むことに問題を生じた方には、医師の指示に基づいて、専門的に摂食や飲み込む(嚥下)訓練も行います。また聴覚障害がある方には補聴器の装用指導なども行います。そのため、「話す・聞く・食べる、のスペシャリスト」といわれています。

言語聴覚士の活動は、各現場の医療従事者等と連携して行われます。理学療法士、作業療法士らと同様に、医師の指示のもとで業務を行う「コメディカルスタッフ」とも呼ばれています。

■問い合わせ窓口:一般社団法人日本言語聴覚士協会