「小規模多機能施設」と「有料老人ホーム」は、どちらも高齢者のために介護サービスを行う施設ですが、2つには『在宅介護』と『入所介護』という大きな違いがあります。

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  • 在宅介護……「小規模多機能施設」

小規模多機能型居宅介護は、平成18(2006)年4月の介護保険法改正により生まれた地域密着型の介護保険サービスです。『デイサービス(通所介護)』を中心に、『ショートステイ(短期入所)』や自宅での『訪問介護』といったサービスを組み合わせ、在宅(自宅)での生活をつづけられるよう、自宅と小規模多機能型施設を行ったり来たりしながら、利用者が住みなれた地域での生活を支援します。

「小規模多機能施設」は、主に社会福祉法人や医療法人などが運営しています。全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会によれば、平成28(2016)年時点で、全国に5,000ヵ所を超える事業所が開設されています。

通常であれば介護スタッフはデイサービスや訪問介護サービスごとに変わりますが、小規模多機能型居宅介護を利用する場合、デイサービス、ショートステイ、訪問介護のすべてのサービスを馴染みのある介護スタッフからサービスを受けられます。少人数制(登録者数1事業所29名以下)のため家庭的な雰囲気で、高齢者が安心しやすい環境です。

利用者が可能な範囲で自立した日常生活を送れるよう、個々の選択に応じてサービスが提供されます。スタッフも地域住民であることが多く、24時間体制なので、ご家族にとっても大きな安心感があります。また、日常生活費(食費・宿泊費・おむつ代など)などは別途負担が必要ですが、介護サービス費は介護度に応じた定額(1割または2割負担)で利用が可能です。

ただし、地域密着型サービスなので、住まいが施設の所在地と異なる市区町村の場合、利用できないことがあります。また、専属ケアマネージャーへの変更が必要なことや、他の事業所による介護サービスを利用できなくなります。(例外あり)

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  • 「有料老人ホーム」は長期入所施設

「有料老人ホーム」とは、入居者に、食事の提供、入浴・排せつもしくは食事の介護ほか、日常生活の介護支援を行う民間の施設です。

「概ね60歳以上」の高齢者が対象で長期利用も可能です。施設により異なりますが、医療設備や看護体制、人員配置数、レクリエーションやイベント、娯楽などのサービスが充実しています。地価による家賃への影響や、サービス内容により、公的な介護施設に比べて費用が高くなる場合もあります。

なお、「有料老人ホーム」には、介護や食事等のサービスが付いた『介護付有料老人ホーム』、食事や生活支援等のサービスを受けられる『住宅型有料老人ホーム』、家事手伝いのサポートを受けられる『健康型有料老人ホーム』といった3タイプがあります。全体でいうと自立した生活が可能な方から介護が必要な方まで、幅広く入所できる施設といえます。

「有料老人ホーム」は、基本的に入居待ちをすることが、ほとんどありません。厚生労働省によれば、「有料老人ホーム」は平成26年(2014)10月1日時点で9,632施設あります。

「有料老人ホーム」には入居一時金があり、施設によっては金額がとても大きい場合があります。逆に入居一時金がなく、その分を月額利用料に設定している施設もあります。月額利用料には「居住費・食費」「日常生活費」などのほか、介護保険内サービスの1割~2割負担額(※1)が必要となります。

(※1)入浴・排せつ・食事の介護など、介護度に応じた介護サービスにかかる費用。住宅型、健康型有料老人ホームは、利用した場合のみ負担。

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  • 2つの介護施設それぞれの特徴

以下の表は、「小規模多機能施設」と「有料老人ホーム」の大まかな各特徴です。

小規模多機能施設 有料老人ホーム
運 営 医療法人
社会福祉法人など
民間が主
入居対象 65歳以上
要支援1~要介護5
※施設と同じ市町村に住民票がある人
※65歳未満でも介護認定をうけている場合、利用可能 概ね60歳以上
概ね60歳以上
自立者・要支援・要介護者
※施設により異なる
基本的なサービス 「通い」「宿泊」「訪問」3つのサービス
日常生活上の支援や機能訓練
食事の提供、入浴・排せつもしくは食事の介護ほか、日常生活の介護支援
入居期間 長期間 長期間
費用(一時金) 不要 必要とする場合あり
費用(月 額) 3,500円~25,000円 20万円~30万円
医療的ケア
リハビリ
施設による
※入居者の急変などに備え、協力医療機関を定めている
施設による
日中の看護師配置あり
※24時間看護職員の配置や、クリニックを併設している場合あり。
※サービスは多様化している
趣味・娯楽・イベント 施設による
※主に「通い(デイサービス)」で、おでかけやイベントあり
充実している
居室 ・1~2人の個室
※基本は個室
・一般居室
・介護居室
※基本は個室
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  • おしまいに

国は65歳以上の世帯が増加していく状況をふまえ、「在宅医療・介護」を推進する姿勢を示しています。その背景には、高齢者施設や介護職員の不足という問題もあります。ただ、在宅医療・介護に必要な、訪問診療を提供している医療機関の数もまだ十分ではありません。そんな状況なので、完全在宅介護より少し施設介護に歩みよった「小規模多機能施設」は、地域包括ケアシステムの中核的な拠点のひとつになると期待が高まっています。ただし、あくまでも在宅介護なのでご家族の負担はあります。

そこで、高齢者施設へのご入所を考えた場合に留意しておくべきなのは、施設不足と叫ばれているのは主に、介護保険施設の「特別養護老人ホーム(略称:特養)」に対してだということ。入所希望者数がとても多いのに対し、施設数が足りないということなのです。

しかし、民間の施設である有料老人ホームであれば、ほぼ待たずに入所が可能です。サービスが充実しており、利用しやすい費用の施設も増えてきました。そのような高齢者施設の情報をたくさん手に入れるためにも、一度老人ホーム紹介事業者などにご相談してみるといいかもしれません。

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  • おさらい

「小規模多機能施設」と「有料老人ホーム」は、ともに高齢者のために介護サービスを行う施設ですが、『在宅介護』と『入所介護』という大きな違いがあります。

小規模多機能施設は、「通い」「宿泊」「訪問」という3つのサービスを提供する地域密着型の在宅介護サービスです。複数のサービスを馴染みのあるスタッフから受けられて、介護サービス費用も定額、また24時間体制なので安心感があります。しかし、地域住民のみが利用可能で、他のサービスと併用できません。また、専属のケアマネージャーに変更する必要があります。

有料老人ホームは、食事の提供、入浴・排せつもしくは食事の介護ほか、日常生活の介護支援を行う民間の施設です。地価やサービスなどにより公的な介護施設に比べて費用が高くなる場合もありますが、サービスがとても充実しています。また、施設介護なのでご家族の負担がなく、費用面においても利用しやすい施設が増えています。

■問い合わせ窓口:各施設、地域包括支援センター、市区町村役所、老人ホーム紹介事業者