ターミナルケアとは、余命がわずかとなった方が、穏やかに過すために行われる医療・看護・介護のことです。ケアを受ける方が、不快感や苦痛を感じずに、自分らしく過ごせることが何よりも重要となります。

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  • ターミナルケアの概要

ターミナルケアは、その名のとおり「終末期(ターミナル)」の「医療・看護および介護(ケア)」です。老衰や病気、障害などの理由により終末期を迎えた方が、少しでも穏やかに過ごせるように、身体的のみならず、精神的にも負担のないケアが行われます。すべての苦痛を緩和することが第一目的なので、痛みをともなう治療や延命措置は基本的に行いません。

ちなみに、ターミナルケアと混同されることが多い緩和ケアは、がんと診断されたときから治療と同時にはじめられるケアなので、終末期に限られたものではありません。緩和ケアという大きな概念があり、その一部にターミナルケアがあるというイメージです。

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  • 終末期の定義

公益社団法人全日本病院協会の「終末期に関するガイドライン(平成21年5月)」によると、終末期は以下のように定義づけられています。

  1. 医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること
  2. 患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること
  3. 患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること
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  • ターミナルケアの開始

がんなどの病気の場合、効果的な治療が見込めなくなるなど、余命を予測することが可能ですが、認知症ではそれが難しくなります。そのようなことから、一般的には寝たきりになり、食事ができなくなってしまった状況で、ターミナルケアを開始することが多くあります。

ターミナルケアの開始によって、「人工呼吸器や経管栄養(経腸、経鼻、胃ろう栄養療法)、補液、抗生剤など薬物投与、容態が急変した際の心肺蘇生(CPR)」などの延命治療は、積極的に行わない方向になります。

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  • ターミナルケア開始の判断

ターミナルケアの開始、いわゆる積極的な延命治療の開始・継続・中止は、ご本人の意志により決定します。ご本人による意思表明が難しい場合は、ご家族の意志を基本とし、医療チームと治療方針を相談する運びになります。

もしもご家族の意志がまとまらない場合は、「第三者を含む倫理委員会等で検討し、その結論に基づいて対応する(※1)」ことが必要とされます。

このような状況を避けるため、ご本人が意志表明できるときに、「リヴィングウィル(生前の延命治療等における意志表明)を作成しておくことが推奨されています。

(※1)公益社団法人全日本病院協会の「終末期に関するガイドライン(平成21年5月)より

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  • ターミナルケアを行う場所について

ターミナルケアが行われる場所は、その方にとって、人生最後のときを過ごす場所となります。それゆえに、ケアを受けるご本人が望む場所であることが大切です。しかし、症状によってご本人の意志を確認できない場合があり、また、各ご家庭にもさまざまな事情があります。可能な範囲で、無理がないように決めていく必要があります。

【在宅でのターミナルケア】
医師や訪問看護師と、介護をするご家族同士の密接な連携が必要となります。点滴や酸素吸入などの医療処置においては、医師や看護師とよくご相談しましょう。長期の入院を経験した方は、点滴そのものが苦痛である(※2)という報告もあります。なお、看護師の訪問回数は、施す処置によって変わります。

また、寝たきりになると、褥創(じょくそう※3)が背中やお尻などにできてしまうことがあります。褥創は大変な苦痛をともなうので、それを避けるため、数時間ごとにからだの向きを変えてあげる必要があります。

介護を行うご家族の負担は必然的に多くなりますが、ケアを受ける方にとっては、ご家族がいる住み慣れた場所という安心感があります。

(※2)一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会「在宅ターミナルケア」より
(※3)寝たきりなどで長期にわたり圧迫された部分が血行不全となり、皮膚や周辺の組織が壊死してしまう状態

【老人ホームでのターミナルケア】

老人ホームでターミナルケアが行われるケースも多くなっています。施設で行われる場合は「看取り介護」とも呼ばれます。介護職員やケアマネジャー、医師、看護職員、栄養士らが連携してターミナルケアを行い、ご本人やご家族への情報共有が行われます。24時間体制なので、緊急の場合は医師や看護師指導のもと、的確に対応することが可能となっています。

老人ホームでのターミナルケアの場合、ご本人やご家族と、老人ホーム側との信頼関係がとても重要なポイントになります。施設選びの段階で専門家によくご相談し、施設側には看取り介護について、しっかりと確認しましょう。

なお、看取りに向けた介護をした場合、死亡日から30日前までを上限に「看取り介護加算」が算定されます。
【病院でのターミナルケア】

ターミナルケアを行う医療施設は「ホスピス」と呼ばれており、入院できるのは、余命が推定6か月以内の「がん患者」または「エイズ患者」に限られています。ただし、在宅や施設でターミナルケアを受けていた方の容態が急変して搬送された場合などには、病院で終末期を過ごすことになります。

「ホスピス」にはいくつかの形態があります。緩和ケア病棟(PCU)として病院の上層階に位置していたり、一般病院の敷地内に独立したかたちで置かれています。そのほか、緩和ケア病棟を持たず、病院内の専任スタッフ(緩和ケア医・精神科医・看護師・薬剤師・臨床心理士・ソーシャルワーカーなど)がチームを組んでターミナルケアを行う場合もあります。また、ターミナルケアを主とする医療施設もあります。

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  • おしまいに

ターミナルケアでは、終末期を迎えた方の生活の質が向上することを重要視しています。そして、それは、ご家族に対しても同じ意味をもちます。

ご本人の症状に加え、ご家族の状況もさまざまなので、ターミナルケアの場所がどこであるか、ターミナルケアをはじめた時期がいつであるかに正解や間違いはありません。

もしも、ご家族で悩まれているようなときは、一度専門家にご相談してみてください。あらゆるケースを知る専門家の言葉が、多くの決断に役立つかもしれません。

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  • おさらい

ターミナルケアとは、余命がわずかとなった方が、最後の時間を穏やかに過ごせるよう行われる、終末期の医療・看護・介護のことです。

すべてにおいて(身体的・精神的)苦痛を緩和することが第一目的なので、痛みをともなう治療や延命措置は行いません。

ターミナルケアは、ご本人やご家族の意志に基づいて開始され、在宅もしくは施設などで行われます。

■問い合わせ窓口:地域包括支援センター、各施設、医療機関