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  • 認知症患者の増加に対する予防の目的と対策の概要および予防方法

内閣府が発表した「平成28年版高齢社会白書」によると認知症患者数は、2012年度で7人に1人の割合になる462万人で、2915年度には5人に1人の割合の700万人に達すると予測されています。認知症は高齢者自身だけの問題ではなく家族を巻き込み、そして家族の精神的・金銭的・肉体的負担のみならず医療や地域社会の費用負担を増大させる大きな問題です。認知症が社会にもたらす影響を小さくする目的のために行うべき認知症の予防や認知症を支える国や地方自治体の政策・対策について紹介します。

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  • 認知症患者を支援する難しさ

認知症は、発症原因や症状そのものや、症状の進展スピードもさまざまで、認知症患者だからという理由だけで一律的な支援が行えない難しさがあります。また、認知症を早期発見・早期治療で発症を遅らせられますが、認知症の初期段階の症状を見抜くことは難しく見逃されています。さらに認知症を予防することは認知症が多くの人を巻き込むだけに重要です。そのため、認知症への対策は高齢者に対する介護とは別の体制が必要とされています。医療や介護の専門家による認知症の初期段階で集中支援するチームの設置。医療と介護連携のコーディネーター(認知症地域支援推進員)の養成。早期診断を行う認知症疾患医療センターの整備。そして認知症患者への生活支援コーディネーターの配置など、さまざまな面から認知症対策を行う体制が求められています。

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  • 国の認知症対策「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の概要

認知症患者を支援するには、医療・介護の面からさまざまな対策が行えることが必要だとして、国は2015年に「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を発表しました。そこでは、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現」を基本的な考え・目的としています。新オレンジプランは、以下の7つの施策を柱としています。

  1. (1)認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  2. (2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供
  3. (3)若年性認知症施策の強化
  4. (4)認知症の人を介護する家族などへの支援
  5. (5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  6. (6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発およびその成果の普及促進
  7. (7)認知症患者やその家族の視点の重視
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  • 認知症地域支援事業の概要

2015年の介護保険法の制度改正で、認知症の早期段階での症状悪化を予防するための支援や、認知症またはその疑いのある人に対して総合的な支援を、保健医療および福祉に関する専門家よって行われる事業を地域支援事業として2018年度から自治体で実施されます。自治体では、「認知症初期集中支援推進事業」「認知症地域支援推進員設置事業」および「認知症ケア向上推進事業」の3事業が総合的に行われます。

「認知症初期集中支援推進事業」の具体策としては「認知症初期集中支援チーム」が市区町村に設置されます。認知症専門医の指導やかかりつけ医との連携のもと、認知症患者やその家族を訪問し、早期診断や支援が行われます。

「認知症地域支援推進員設置事業」の具体策としては、認知症患者に対するさまざまな施策を地域にあわせた企画立案や実施機関との連携などが行われます。

「認知症ケア向上推進事業」の具体策としては、病院や介護施設などにおいて認知症患者への対応力の向上と認知症ケアに従事する人への研修、および認知症カフェなどによる認知症患者とその家族への支援などが行われます。

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  • 認知症の予防・対策方法について

国は、少しでも認知症の症状が見られれば医療保険や介護保険が適用されて治療・介護を受けられます。しかし、それ以前の予防は個人や地方自治体で行い認知症の患者数を軽減したいと考えています。認知症は、まず予防することが重要です。認知症は、いまだ治療法が確立されておらず発症すると徐々に深刻になっていきます。そのため、認知症の発症をできるだけ予防することが重要です。どのような予防方法があるかについて紹介します。

認知症は「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」のほか全部で8種類あります。「アルツハイマー型認知症」は全体の約7割、「脳血管性認知症」は約2割、「レビー小体型認知症」は約4%でこの3種類で9割をこえます。厳密には、それぞれの認知症で効果のある予防方法は異なりますが、予防段階ではどの認知症になるかは分からないため、認知症の予防になると考えられている方法はすべてを行うようにしなければなりません。

多くの医師がすすめる予防方法・対策例は以下の通りです。

  1. 1.バランスのよい食事と十分な睡眠、過度の飲酒を避けて生活習慣病を予防し動脈硬化を防止し血管を丈夫にする、また腸によい食物繊維、ヨーグルトで腸内環境をよくする
  2. 2.軽度の運動(3日1回できれば毎日30分程度の有酸素運動と3日1回5分程度の筋力トレーニングの両方)を行うことで、ストレス発散と脳の血流を増加させる
  3. 3.趣味を持ち人との付き合いを増やして脳を刺激する
  4. 4.いくつかの認知症では嗅覚障害が物忘れより先に生じるので嗅覚に刺激を与える
  5. 5.血管を傷めるタバコを止める
  6. 6.脳トレなどで脳を刺激する
  7. 7.歯みがきをよくして歯の状態を悪くしない
  8. 8.笑うことを心がける
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  • まとめ

国や自治体による認知症の予防・対策の目的と概要について、および認知症の発症を予防する方法について解説しました。認知症は、治療方法がまだ確立されていないため発症しないように、発症してもその進行が進まないようにすることが重要です。また、認知症は患者自身のみならず家族や地域社会全体で見守りをしなければなりません。そのためには、まずは認知症に対する理解を深めることが重要です。