養護老人ホームとは

養護老人ホームは、経済的な理由や、身体上または精神上の理由、家庭環境の理由により、自宅での生活が困難な高齢者が利用できる施設です。比較的、自立した生活が可能な方を対象とする、社会福祉法に基づいた福祉施設です。

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  • 養護老人ホームの特徴

養護老人ホームは、社会福祉法人や地方自治体などが運営する福祉施設です。審査を受け、市区町村長より措置判断されると入所が可能となります。生活に困窮している65歳以上の高齢者で、自立した日常生活を送れる方が対象です。「要介護1」以上の認定を受けている方は対象外となります。厚生労働省によれば、平成26年(2014)10月1日時点で952施設があります。

高齢者の方が社会復帰できるよう自立支援をサービスする施設なので、基本的に重介護の方は入居できません。しかし、2005年の介護保険制度改正により、養護老人ホームは「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」の指定を受けたため、介護サービス提供事業者(訪問介護・訪問看護・通所介護・訪問入浴・訪問リハビリなど)と委託契約を結ぶことにより、介護保険の居宅サービス利用が可能となりました。

ちなみに、名前が似ている「特別養護老人ホーム」は介護保険施設ですが、「養護老人ホーム」は自治体が入居費用をサポートする福祉施設なので、介護保険施設ではありません。

“高齢者の最後の砦”といわれるだけあり、入居される方の事情はさまざま。公益社団法人『全国老人福祉施設協議会』のパンフレットには、養護老人ホームの入所者像として、おおよそ以下のような例があげられています。

・身寄りがない
・家族のサポートを受けられない
・経済的に困窮している
・虐待を受けている
・身体的な障害や、精神的な障害、認知症がある
・何らかの事情で法律に基づく施設に入所できない
・ホームレスである
・犯罪歴がある

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  • 養護老人ホームで受けられるサービス

施設によって異なりますが、日常生活の基本的なサポートや健康管理、社会復帰・生活向上のための助言や指導などが受けられます。さまざまなレクリエーションやイベントにクラブ活動、地域交流を積極的に行う施設も多くあります。介護が必要になった場合は、施設が委託契約を結んだ事業者による、介護サービス(食事、入浴、排せつ介助など)を利用することが可能です。施設には生活相談員が配置されているので、経済的なことを含むあらゆる相談ができます。夜勤の職員による深夜のサポートも行われています。

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  • 養護老人ホームの費用の内訳

養護老人ホームの入居にかかる費用は、老人福祉法に基づく費用徴収基準(養護老人ホーム被措置者費用徴収基準)の規定に基づいています。基本的に「一時入居金」はなく、入所者の収入に応じた月々の費用のみとなります。徴収額が施設の必要経費に満たない場合は、扶養義務者の方が費用を負担します。ただし、その場合も扶養義務者の方の経済状況に応じます。

  一年間の収入(円) 月々の費用
1 0〜270,000 0
2 270,001〜280,000 1,000
3 280,001〜300,000 1,800
4 300,001〜320,000 3,400
5 320,001〜340,000 4,700
6 340,001〜360,000 5,800
7 360,001〜380,000 7,500
8 380,001〜400,000 9,100
9 400,001〜420,000 10,800
10 420,001〜440,000 12,500
11 440,001〜460,000 14,100
12 460,001〜480,000 15,800
13 480,001〜500,000 17,500
14 500,001〜520,000 19,100
15 520,001〜540,000 20,800
16 540,001〜560,000 22,500
17 560,001〜580,000 24,100
18 580,001〜600,000 25,800
19 600,001〜640,000 27,500
20 640,001〜680,000 30,800
21 680,001〜720,000 34,100
22 720,001〜760,000 37,500
23 760,001〜800,000 39,800
24 800,001〜840,000 41,800
25 840,001〜880,000 43,800
26 880,001〜920,000 45,800
27 920,001〜960,000 47,800
28 960,001〜1,000,000 49,800
29 1,000,001〜1,040,000 51,800
30 1,040,001〜1,080,000 54,400
31 1,080,001〜1,120,000 57,100
32 1,120,001〜1,160,000 59,800
33 1,160,001〜1,200,000 62,400
34 1,200,001〜1,260,000 65,100
35 1,260,001〜1,320,000 69,100
36 1,320,001〜1,380,000 73,100
37 1,380,001〜1,440,000 77,100
38 1,440,001〜1,500,000 81,100
39 1,500,001〜 対象収入のうち150万円を超過した額×0.9÷12+81,100円(100円未満は切り捨て)
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  • 養護老人ホームに入居するためには

養護老人ホームへ入居する場合は、市区町村の担当窓口(福祉課など)に申請が必要です。まずは、地域包括支援センターや、居宅介護支援事業所に相談しましょう。直接、市区町村の担当窓口に相談することもできます。

申し込み後、本人および扶養義務者の養護状況、心身の状態、経済状況、健康診断結果などを判断材料にして、「入所判定委員会」が開かれ入所措置基準に基づき入所判定が行われます。

ただし、虐待などを生命に危険がおよぶような場合は、「入所判定委員会」による判定がなくても入所できるケースがあります。

必要書類は、入居者の「住民票・健康保険証・介護保険証・健康診断書・所得証明書」など。そのほか、入居者の戸籍謄本、扶養義務者の所得証明書、身元引受人の印鑑証明や実印、住民票を求められる場合もあります。

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  • 養護老人ホームの現状

養護老人ホームの入所には市区町村の判断(入所措置)が必要です。それは、養護老人ホームが生活に困窮した高齢者のための施設であり、月々の費用を市区町村が負担しているからです。かつてはそれを国が半分負担していたのですが、平成17年(2005)から市区町村の全額負担になりました。そこで、財政が厳しい行政による、「措置控え」が始まったといわれています。

そのため、入所したい高齢者が溢れかえっているのに、当の養護老人ホームは定員割れして、ガランと空いている状況です。「措置外し」というかたちで、入所者が退去せざるを得ないこともあるようです。ただ、1975年から施設数が増えていないため、高齢化により定員数が足りない地域もあるとのこと。いずれにせよ、生活に困っている高齢者を入所させず、ときには放り出すという行政に疑問の声が高まっていながら、状況は改善されていないという現実があります。

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  • おしまいに

養護老人ホームは経済的な支援を受けられる施設なので、さまざまな事情をもつ高齢者の方々にとって、本当に困ったときに頼れる施設といえます。また、生活相談員や夜間勤務の職員がいるので、とても心強く、レクリエーションやクラブ活動などを通じて、人と交流することもできます。家庭環境や生活に苦しんでいた高齢者の方の心身には、このうえなく良い影響を与えてくれるでしょう。

しかしながら、養護老人ホームは行政の入所措置が必要であり、そのハードルが非常に高いという最大の難点があります。また、養護老人ホームは「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」の指定施設になったことで介護報酬による補填が考慮され、施設への措置費が大幅に減額されています。実のところ、その仕組みがうまく回らず、経営難に陥る養護老人ホームも多いようです。

だからこそ、その施設の状況をよく把握したうえでの施設選びがとても大切です。また、養護老人ホームに限らず高齢者施設には、それぞれメリット・デメリットがあります。それらを比較対照するためにも、高齢者施設の情報を多く把握している専門家へのご相談から始めるのがお勧めです。

そして、何よりも大切なのは、専門家の目線やアドバイスが、とても中立的で信頼性が高いことです。小さな悩みや、気になっていたことすべて聞くこともできるので、精神的な負担が軽くなるかもしれませんよ。

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  • おさらい

経済的な理由や、身体上または精神上の理由、家庭環境に問題があるなど、生活に困窮している65歳以上の高齢者が対象の施設です。行政による判断で入所が決まります。また、自立した日常生活を送れる方が対象なので、「要介護1」以上の認定を受けている方は対象外となります。

介護サービスは、施設が委託契約を結んでいる介護サービス提供事業者により受けられます。

■特徴:生活に困窮している高齢者のための施設

■対象者:原則65歳以上

■自立(要介護1以上は対象外)

■利用できる期間:一定期間

■問い合わせ窓口:各施設、老人ホーム紹介事業者、地域包括支援センター、市区町村役所