まずは老人ホームの種類を知ろう
高齢者を対象とした施設や住宅には、色々な種類があります。運営主体も、地方公共団体、社会福祉法人、医療法人、民間事業者などさまざまです。一般的に老人ホームは、民間事業者が運営する「民間」と地方公共団体と社会福祉法人などが運営する「公的」とに大別され、入居条件や提供されるサービスが異なります。
民間施設
介護付有料老人ホーム

原則65歳以上高齢者のための介護や食事のサービスが付いた民間の介護施設です。介護が必要となっても、施設が提供する介護サービスを利用しながら、居室で生活を継続することが可能です。入浴、排泄、食事等の介護、その他日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話が提供されます。施設によっては、レクリエーションやイベントなどが行われます。また、中には24時間体制で医療ケアが行われる施設もあります。
- 身体状況:自立・要支援・要介護1?5
- 介護体制:介護体制3対1以上
- 介護サービスの提供方法:施設スタッフが提供
- 居室の広さ:約13㎡以上
住宅型有料老人ホーム

一般的に60歳以上の高齢者のための食事など日常的な生活援助サービスが付いた民間の施設です。介護が必要になった場合、地域の訪問介護など別途契約した介護サービスを利用しながら居室で生活します。その他のサービスとして、施設スタッフを24時間配置していたり、医療機関との連携で、医療依存度の高い方に対応している場合もあります。施設によって、レクリエーションやイベントなども行われます。
- 身体状況:自立・要支援・要介護1?5
- 介護体制:訪問介護・看護
- 介護サービスの提供方法:外部の介護サービスを選択
- 居室の広さ:約13㎡以上(設置基準による)
サービス付き高齢者向け住宅

高齢者向けの賃貸住宅です。バリアフリー構造で、状況把握と生活相談のサービスが義務づけられているため一定の安心感がありつつ自由な生活ができます。必要な分だけ外部の介護・看護サービスを選択できます。自立・要支援・要介護1から2程度で介護の必要が少ない、比較的元気な高齢者に向いています。
- 身体状況:自立・要支援・要介護1?2程度
- 介護体制:訪問介護・看護
- 介護サービスの提供方法:外部の介護サービスを選択
- 居室の広さ:約25㎡以上
健康型有料老人ホーム

おおむね60歳以上の介護の必要がない自立した高齢者のための老人ホームです。介護が必要になった場合は退去することが原則ですが、施設によって介護付有料老人ホームと提携していたり、訪問介護を受けられる居室に移動できる場合があります。 食事サービスのほか、必要に応じ掃除・洗濯などの生活支援も受けられ、レクリエーションやサークル活動にイベント、娯楽設備が充実しています。
- 身体状況:自立
- 基本的に要介護認定を受けた場合は退去
グループホーム

家庭のような少人数の環境で共同生活を送れる、認知症高齢者向けの施設です。地域密着型のサービスなので、入居を希望する施設と同じ地域に住民票があることを必要とします。介護サービスや、生活支援サービスのほか、日常生活を通じた機能訓練やレクリエーションなどが受けられます。基本的には、施設スタッフと共同で入居者自身が身の回りのことを行うため、介護度が高くなったり、日常的な医療ケアが必要になると退去を求められます。ただし、なかには医療ケアが充実している施設も存在します。
- 身体状況:認知症と診断された要支援2以上
- 介護体制:介護体制3対1以上
- 介護サービスの提供方法:施設スタッフが提供
- 居室の広さ:7.43㎡以上(設置基準による)
公的施設
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

介護が必要な高齢者のための公的な介護施設で、省略して「特養」とも呼ばれ、介護保険上では、「介護老人福祉施設」と明記されます。運営主体は地方公共団体と社会福祉法人などです。入居対象者は、原則65歳以上の要介護3~5の方です。ケアプランにもとづき、入浴、排泄、食事等の介護、その他日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話が提供されます。
老人保健施設(介護老人保健施設)

高齢者の在宅復帰を目指す医療ケアやリハビリが中心の公的な介護施設で、「老健」とも呼ばれています。運営主体は地方公共団体と社会福祉法人などです。入浴・食事介助・日常生活支援・レクリエーションなどのケアサービスも提供されます。原則65歳以上で要介護1から5の認定を受けている方が対象で、病気での長期入院を必要とする方は入所できません。利用できる期間は3ヶ月から1年程度です。
さらに詳しくケアハウス、軽費老人ホーム

家庭での生活に不安がある高齢者が比較的少ない費用で食事や最低限の生活支援サービスを受けられる福祉施設です。 運営主体は地方公共団体と社会福祉法人などです。「軽費老人ホーム(A型・B型)」「自立型ケアハウス」「介護型ケアハウス」があり、介護型ケアハウス以外は施設による介護サービスはありませんが、介護が必要となった場合は、外部の介護サービスを受けることが可能です。 介護型ケアハウスのみ65歳以上・要介護1以上、他は60歳以上・自立~軽い介護度の方が対象です。
さらに詳しく介護療養型医療施設

重度の要介護者に医療ケアやリハビリを行う医療施設です。また、それぞれの能力に応じ、自立した日常生活を営めるようにするための施設でもあります。運営主体は地方公共団体と社会福祉法人などです。医療体制が充実していますが、生活支援サービスやレクリエーションなどは期待できません。対象者は、原則65歳以上の要介護1以上の方です。
さらに詳しく介護医療院

病状が安定期にあり、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練、その他必要な医療並びに有する能力に応じて自立した日常生活上の世話などが受けられます。運営主体は地方公共団体と社会福祉法人などです。65歳以上で、要介護認定を受けている方が対象です。
老人ホームを選ぶポイント
入居予定の方と家族が何を望み、何を目的に施設を選ぶのか、まずは条件を一つひとつ確認することが大切です。住み替えのタイミング、健康状態、日常生活動作能力、介護や医療がどの程度必要か、介護保険制度の利用の有無、予算などで、選択する施設・住宅は異なってきます。それらを整理し、適した老人ホームのタイプを考えてみましょう。
入居理由
介護・看護が必要なのか、生活面の安全や将来の安心のためか
身体状況
医療ケアが必要か、認知症の進行度合い、寝たきりかどうかなど
場所
住み慣れた地域か、家族の近くか
予算
手持ち資金か財産処分を考えるか
環境
交通の利便性。自然が多い。病院が近い。
設備
居室や共有スペースの設備はどうか。
入居期間
終身を目的とするか、一時的(特養待ちショートステイ)か。
サービス
手厚い介護を望むのか、食事やレクリエーションは充実しているか
失敗しない老人ホーム選び
せっかく老人ホームへ入居しても、介護度が上がって介護費用がかさみ経済的に厳しい、医療ケアが必要になったが今の場所では難しいなどの理由で転居を余儀なくされ、相談に見える方もいらっしゃいます。そんなことにならないために失敗しないポイントをおさえておきましょう。
お身体の状態はどうか?

介護度、認知症や医療ケアの有無、歩行や車椅子、希望するリハビリの内容など、どの程度介護・看護が必要なのか?お身体の状態によって入居するホームが分かれます。
金額だけにまどわされない

有料老人ホームの入居金は、0円から数千万円を超えるところまで様々です。金額の多少だけで決めず、場所・設備・介護体制等、何を重視するかを多角的に検討しましょう。
建物だけにまどわされない

建物の大きさや間取りの広さ、新しさだけにこだわらず、そこで提供されるサービスに注目しましょう。ご入居者様にとって、暮らしやすさが第一です。
施設見学の比較検討は必須

施設見学は、最低3ヵ所程度は比較しておくとよいでしょう。施設の内観だけでなく入居者の様子、スタッフの対応を肌で感じてください。施設(会社)の姿勢や体制もチェックしましょう。
こんな方はご相談ください
- 入居したホームが合わないので1日も早く退去したい(78歳 女性 要支援2)
- 場所と施設の新しさだけで選んで失敗(86歳 女性 要介護2)
- 月額利用料が年金の範囲内でおさまる老人ホームを探したい(90歳 女性 要介護1)
- 退院後の老人ホームを住み慣れた街で探したい(95歳 男性 要介護3)
- 人工透析が週3回必要な主人の入れる老人ホームはある?(86歳 男性 要介護4)